2008 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレスが心筋再生に及ぼす影響とその分子・細胞学的機序の解明
Project/Area Number |
19591628
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
美甘 章仁 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 講師 (30372709)
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Keywords | メカニカルストレス / 心筋再生 / 細胞増殖 / アポトーシス / 心筋幹細胞 |
Research Abstract |
最新の研究成果から、心臓は肝臓や皮膚などの臓器と同様に自己再生修復機能を備えていると考えられる。しかし、心筋梗塞等によって心筋が傷害された心不全患者において、心筋の自己修復再生から心機能回復へ至る症例は一般的に存在しない。その原因の1つとして、心臓がポンプ臓器であるが故に常に被るメカニカルストレスが心筋再生に悪影響を及ぼすのではないかと推測した。本研究では、メカニカルストレスが心筋再生に与える影響について調べ、その分子・細胞学的機序を解明することを目的とする。 本年度は、前年度に摘出した梗塞心を用いて、メカニカルストレスが心筋の自己再生に及ぼす影響とその作用機序について検討した。対象は、次の2群である。10週齢C57BL/6マウスを用いて心筋梗塞モデルを作製し、60分後に以下の2群に分けた。移植群(unloading群);donorとして梗塞心を摘出し、それを別のマウスの腹腔内へ異所性に心移植を行った。梗塞心の冠血流は保たれたまま、メカニカルストレスがかからない状態で拍動する。対照群(loading群):心筋梗塞を作製後、Sham手術(開腹)のみを行った。 梗塞作製後7日目の梗塞心においては、loading群と比較して、unloading群ではKi-67陽性細胞数が有意に多く、TUNEL陽性細胞数は有意に少なかった。また、unloading群の障害心筋内のc-kitあるいはSca-1陽性細胞数はloading群よりも有意に多かった。 以上の結果から、メカニカルストレスの軽減によって、細胞増殖が増加すると共に、アポトーシスが減少することがわかった。また、障害心筋内への幹細胞の集積が増大することが示された。メカニカルストレスの制御は、こうした作用機序を介して心筋の自己再生を促すことができると推察された。
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