2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小肺癌におけるNESH/TARSH経路の癌抑制機構の解明と臨床診断への応用
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19591638
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
島田 順一 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 講師 (60315942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 大志朗 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (70315943)
寺内 邦彦 京都府立医科大学, 附属病院, 研究員 (10515290)
若生 武 国立長寿医療センター(研究所), 老化機構研究部, 研究員 (10435878)
丸山 光生 国立長寿医療センター(研究所), 老化機構研究部, 部長 (00212225)
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Keywords | TARSH遺伝子 / 肺癌 / mRNA / 細胞老化 |
Research Abstract |
我々は肺癌の発生過程において、「正常肺組織の正常老化からの逸脱」と「正常な細胞増殖制御からの逸脱」の2点に着目し、ヒト肺癌細胞株および原発性肺癌の臨床検体を用いてTARSHおよびNESH遺伝子のmRNA発現レベルを検討し、微小肺癌と前癌病変、非浸潤癌と浸潤癌との分子生物学的な差異を見出すことを目指した。今年度はヒト肺癌臨床検体の解析を継続すると共に分子機能解明を目指す研究を行った。 まず1)ヒト肺癌細胞株12種によるTARSHおよびNESH遺伝子のmRNA発現レベルを定量RT-PCR法を用いて測定したところ、全例において顕著な発現低下を認めた。2)肺癌臨床検体88例におけるTARSH mRNA発現量解析では腫瘍部位におけるmRNA量が同一症例の非腫瘍部位よりも有意に低下している事が明らかとなった。3)またそのうちの微小肺癌12例においても非浸潤癌、浸潤癌を問わず全例に同様の結果を得たが、特に野口分類に示されるタイプ別(A>B>C)に発現量の差がみられる傾向にあった。以上よりTARSH遺伝子は肺癌の初期段階より発現低下がみられ、その発現レベルは腫瘍の分化度に依存することが示唆された。 さらにTARSH分子の機能については、4)胎児線維芽細胞においてTARSH遺伝子をノックダウンするとp53経路を介さずにp21の活性化を伴って著しい細胞増殖抑制が認められた。このことからTARSHが細胞の安定性を司って細胞周期に関連した機能を持ち、TARSHの不活化により細胞が老化やアポトーシス、さらには癌化というpathwayに導くものであると考えられた。
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Research Products
(2 results)