2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しい心不全治療:三次元人工心筋組織の臨床応用を目指して
Project/Area Number |
19591642
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
谷口 繁樹 Nara Medical University, 医学部, 教授 (90183467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 洋 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00316069)
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Keywords | 再生医療 / 組織工学 / 人工心筋組織 |
Research Abstract |
(研究の目的)前年度は新生児ラットの心臓から単離した細胞とコラーゲンからなる混合物をドーナツ型の鋳型に注入し、培養することによって輪ゴム状の人工心筋組織を作成した。研究の目的がIGF-1の心筋細胞への効果を検討することである為、まず、同人工心筋組織が従来報告されてきたのと同様の機能を持つ必要があった。肉眼で拍動が確認できる組織の作成には成功したが、収縮力測定試験で同人工心筋組織の発生する収縮力がこれまでに報告されてきたものより小さい、カルシウムに対する反応性が確認出来ない、また、カルシウム負荷に対して早期に不整脈が出現するなどの問題点が明らかとなった。細胞内のカルシウムハンドリングに関連する問題ではないかと考えられる為、本年度はそれらの問題点の原因探求を図るとともに、正常な人工心筋組織の作成を目的に検討を行った。 (研究の成果)コラーゲンの種類など、様々な条件で人工心筋組織を作成した。組織からSERCA2a、Phospho lambanなどを含めた様々な遺伝子のmRNAの発現量をreal-time RT-PCR法で検討し、それぞれの条件におけるmRNA発現量を比較する事によって、最適な人工心筋組織作成の条件を見出そうとした。極まれに反応性の良かった組織をコントロールとして比較することにより、問題のある組織ではSERCA2a/PLB比率が低下している事が明らかになり、細胞内カルシウムハンドリングが問題に影響している可能性を示唆する結果を得た。その他にもマトリゲルを添加することによって細胞のアポトーシスが減少することが、Bax/Bcl-2の比率の低下ということで示され、また、培養条件によって心筋細胞のマーカーとして利用可能なCSQの発現量に変化が現れるなどの所見も得た。 (意義、重要性)現在は上記のような所見を考慮し、正常な心筋組織の作成条件を決定すべく至適な培養条件を探っている。条件設定が終了し、安定した組織の作成が可能となれば、様々な検討に利用可能な人工心筋組織を安定して作成できる可能性を持つ。
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