2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子変異を指標とした肺癌の高感度播種およびリンパ節転移検知システムの構築
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19591652
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
多久和 輝尚 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (00412049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 文啓 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10283673)
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Keywords | 呼吸器外科 / 肺癌 / 遺伝子変異 / リンパ節転移 / 胸水 |
Research Abstract |
・平成19年度に当施設で原発性肺癌に対して手術を行った連続した79例を対象とした。原発巣よりDNAを抽出し、EGFR(エクソン18-22)およびK-ras(コドン12)の遺伝子変異を検索したところ19例(24%)にEGFR遺伝子変異を1例(1%)にK-ras遺伝子変異を認めた。これら症例について、開胸時に腫瘍部の洗浄細胞診を行い、同時に洗浄水からDNAを抽出して遺伝子変異解析を行った。遺伝子変異解析はPCR-SSCP法にて変異スクリーニングを行い、変異陽性の場合にはシークエンスを行って変異の確認を行った。 ・手術全例79例の中で、術中洗浄胸水細胞診が陽性であった症例は5例であった。洗浄細胞診陽性5例のうち、1例は原発巣にEGFR遺伝子変異を認め、洗浄胸水にも同一のEGFR遺伝子変異を認めた,他の4例は原発巣にEGFR/K-rasの遺伝子変異陽性を認めず、洗浄胸水の遺伝子解析でも変異陰性であった。 ・手術例の上記の5例以外は術中洗浄胸水細胞診が陰性であった。これらの洗浄胸水での遺伝子変異はすべて陰性であり、遺伝子変異を指標とした播種の診断と細胞診による播種の診断との比較を行うことはできなかった。今後症例を重ね、原発巣で遺伝子変異を認める症例の中で、細胞診と遺伝子変異を指標とした播種診断の優劣について検討を行う予定。 ・EGFRまたはK-rasに遺伝子変異を認める19例につき、リンパ節の変異の有無につき検討を行った。平成19年度には転移陽性のリンパ節の遺伝子変異の解析のみを行い、これらではいずれも原発巣の変異パターンと一致を認めた。中でも肺に重複癌(ともに腺癌で一方はEGFR遺伝子変異陽性、一方は変異陰性)の転移リンパ節の解析でEGFR変異を認め、変異陽性の肺癌の転移であることが鑑別された。今後転移陰性のリンパ節の遺伝子解析も予定している。
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Research Products
(6 results)