2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子変異を指標とした肺癌の高感度播種およびリンパ節転移検知システムの構築
Project/Area Number |
19591652
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
多久和 輝尚 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (00412049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 文啓 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10283673)
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Keywords | 呼吸器外科 / 肺癌 / 遺伝子変異 / リンパ節転移 / 胸水 |
Research Abstract |
・平成18-20年度に当施設で原発性肺癌に対して手術を行った連続した246例を対象とした。原発巣よりDNAを抽出し、EGFR(エクソン18-22)およびK-ras(コドン12)の遺伝子変異を検索したところ57例(23%)にEGFRまたはK-ras遺伝子変異を認めた。これら症例について、開胸時に腫瘍部の洗浄細胞診を行い、同時に洗浄水からDNAを抽出して遺伝子変異解析を行った。遺伝子変異解析はPCR-SSCP法にて変異スクリーニングを行い、変異陽性の場合にはシークエンスを行って変異の確認を行った。 ・原発巣の遺伝子変異が陽性であった57例の中で、術中胸水または洗浄胸水を採取しえた症例は25例であり、このうち3例は(洗浄)胸水での細胞診陽性でありかつ原発巣と同一の遺伝子変異を(洗浄)胸水に認めた。他の22例は(洗浄)胸水の細胞診は陰性であり、また遺伝子解析でも変異を見出せなかった。以上の結果は、遺伝子変異を指標とした肺癌の微小胸腔内進展(播種)診断は臨床的に有用でないことを示唆した。 ・EGFRまたはK-rasに遺伝子変異を認める57例につき、リンパ節の変異の有無につき検討を行った。組織学的に転移陽性のリンパ節の遺伝子変異解析を行なうと、原発巣の変異パターンと同一の変異パターンをリンパ節にも認めた。中でも肺に重複癌(ともに腺癌で一方はEGFR遺伝子変異陽性、一方は変異陰性)の転移リンパ節の解析でEGFR変異を認め、変異陽性の肺癌の転移であることが鑑別された。しかしながら組織学的に転移陰性のリンパ節においては、原発巣と同一の遺伝子変異を認めた症例はなく、遺伝子変異を指標とした肺癌の微小リンパ節転移診断は臨床的に有用でないことを示唆した。
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Research Products
(10 results)