2007 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍幹細胞を治療標的とした低酸素誘導因子制御による治療戦略の開発
Project/Area Number |
19591658
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
笹嶋 寿郎 Akita University, 医学部, 准教授 (40235289)
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Keywords | 悪性脳腫瘍 / 低酸素誘導因子 / 腫瘍幹細胞 / 増殖能 / 糖代謝 |
Research Abstract |
当初,低酸素状態を把握するトレーサとして^99mTc-labeled HL-91を用いる予定で実験を計画していたが,現在,入手困難な状況となり,^14C-Azomycin(2-Nitro-1H-imidazole)を使用した. ラット可移植性腫瘍株(グリオーマ:C6,RG2,乳癌:W256)をマルチガスインキュベーターを用いて低酸素条件下に単層培養し,各培養細胞について三重標識組織激射能測定を(^14C-Azomycin,3H-TdR,99mTc-DTPA)を行い,腫瘍増殖能と低酸素状態との関連を解析した.腫瘍増殖能はいずれの細胞株も低酸素状態で24時間目には常酸素細胞の30%以下に低下し,5%O_2で6日間(慢性期)培養されたRG2とW256の増殖能は低下したが,C6は常酸素細胞と同程度まで回復した.慢性期における低酸素負荷(2%O_2)ではすべての腫瘍株で増殖能が有意に低下した.一方,14C-Azomycinの細胞集積量は常酸素細胞群,5%O_2負荷群,2%O_2負荷群の比較では,いずれの腫瘍株においても,2%O_2負荷群が最も高集積を示し,常酸素細胞群が最も低く,14C-Azomycinは低酸素状態を反映するトレーサとして有用と考えられた.次いで,各腫瘍細胞の低酸素誘導因子の発現量についてはRT-PCRを用いて低酸素誘導因子のmRNAの定量を試みたが,低酸素負荷(酸素濃度勾配)と低酸素誘導因子の関連は明らかにできなかった.腫瘍幹細胞発現についてはMiltenyi Biotec CD133 Cell Isolation kitを用いてmagnetic labelingを行い,フローサイトメトリーでCD133陽性細胞を選別し,その発現量を定量し,CD 133陽性細胞の占める割合と低酸素負荷との関連を現在,検討中である.
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