2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポストゲノム時代における脳腫瘍のエピジェネティクス解析による診断・治療の新展開
Project/Area Number |
19591669
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
夏目 敦至 Nagoya University, 医学部附属病院, 特任准教授 (30362255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 純 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40158449)
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Keywords | 脳腫瘍 / DNAメチル化 / マイクロアレイ / 脳腫瘍幹細胞 / 免疫療法 / 組織培養 / 脳腫瘍の起源 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
本研究ではポストシークエンスを向かえた現在、ゲノム解析を踏まえ、脳腫瘍におけるエピジェネティクス解析の包括的な解析をおこない、腫瘍の本質的な解明することが目的である。本年度は、下記の研究をおこなった。 1.対象となる患者に対し、手術前に十分なインフォームドコンセントを行い、腫瘍組織の提供と遺伝子解析研究の同意を得たのち、脳腫瘍(特に悪性神経膠腫)の組織培養を行った。 2.これまで十分習熟しているmethylation-specific PCR法により、エピジェネティクスの変化が起こっていることを認めた。 3.DNAメチル化に代表されるエピジェネティクス変化が遺伝子発現に関与するかどうかを検討するため、cDNAマイクロアレイ(遺伝子の発現解析)を実施しかところ、脳腫瘍発生に関わる重要な候補遺伝子(その遺伝子発現を消失すると脳腫瘍の形成が抑制されるという当初の計画では予見できなかった新たな知見)を発見した。 4.この候補遺伝子が真のものであるならばこれまで明かでなかった脳腫瘍の起源を解明できると予想され、再度マイクロアレイを行い、別のサンプルセットでその知見を検証した。 5.そこでDNAメチル化を解除する薬剤を投与すると、癌免疫を誘導する遺伝子が再発現することを認め、脳腫瘍に対する新しい免疫療法への展望を開くものと期待できた。この成果は2008年に国際学術雑誌に掲載された。 これらの成果により、悪性脳腫瘍の起源を解明することが期待され、さらには新しい治療法を展開できる意義深いものになると思われる。
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