2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591670
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮地 茂 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00293697)
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Keywords | 脳動脈瘤 / 破裂 / computational fluid dynamics / 血流動態解析 / 隆壁剪断力 / 二時流れ / 母血管軸 / 仮想モデル |
Research Abstract |
脳動脈瘤の破裂予測をするために、computational fluid dynamicsをもちいて、未破裂脳動脈瘤の形態学的特徴より、破裂のリスクを明らかにした。コンピューター上の直交座標系にて単純なdome 5mm、neck 3mm、母血管と側枝3mmのTerminal type動脈瘤仮想モデルを作製した。動脈瘤頚部の位置が母血管軸に対して対称な場合(Model A)、頚部が片側に1.5mmずれている場合(Model B)、頚部が3mmずれている場合(Model C)の3 typeに分けた。血流動態解析には、FUJITSU α-FLOWソフトウェアを用いた。血液は非ニュートン流体、血管壁は非伸展性と仮定した。次に実症例の臨床データを送信後に早急に分析して、動脈瘤頚部と母血管軸の位置関係を、破裂動脈瘤20例と未破裂動脈瘤26例について検討した。仮想モデルにおいて、Model Aでは、瘤内血流は対称的な整流がみられた。Type Cでは、瘤内を一周する整流がみられた。一方、Type Bでは瘤内で本流から二次流れ(flow separation)が分かれた。二次流れは本流と逆向に流れ、血流速度は極端に遅かった。いずれのモデルでも瘤壁剪断応力は小さく差がみられなかった。実症例を用いたデータでは、破裂動脈瘤群20個中でType Bを11個認めた。一方、未破裂動脈瘤群では26個中でType Bは5個のみであった。統計学的有意差を持って、Type B動脈瘤は破裂群に多かった(P=0.025, chi-square test)。 仮想動脈瘤モデルと患者特異動脈瘤モデルの両者ともに、母血管軸に対して頚部の位置がわずかに変わるだけで、瘤内血流は大きく変わることがわかった。また、頚部開口部が母血管軸に部分的に重なっているような動脈瘤では、二次流れが発生することがわかった。そのような血流の不均衡が動脈瘤壁の内皮を障害して、動脈瘤を破裂へと導くのではないかと推測された。
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Research Products
(11 results)