2007 Fiscal Year Annual Research Report
加速器を用いた単色エネルギー中性子の生物学的効果の評価
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19591679
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
濱 聖司 Hiroshima University, 大学院・医歯(薬)学総合研究科, 非常勤講師 (40397980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗栖 薫 広島大学, 大学院・医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70201473)
星 正治 広島大学, 原爆放射線医科学研究科, 教授 (50099090)
遠藤 暁 広島大学, 原爆放射線医科学研究科, 准教授 (90243609)
田中 憲一 広島大学, 原爆放射線医科学研究科, 助教 (70363075)
富永 篤 広島大学, 大学院・医歯(薬)学総合研究科, 講師 (60274049)
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Keywords | 中性子捕捉療法 / ホウ素化合物 / ICP-MAS / 染色体不安定性 / 加速器 / 細胞周期 / Survivin / Geminin |
Research Abstract |
中性子捕捉療法に向けた基礎的研究として、初年度はホウ素化合物の細胞内への取り込み効率について検討した。まずはステラケミファ(株)から10B濃縮ホウ酸と10B濃縮BPAを入手。そして、悪性脳腫瘍培養細胞にホウ酸とBPAを添付し、広島大学理学部と共同してICP-MASを用いて細胞内へ取り込まれたホウ素の量を調べた。すると、ホウ酸の取り込み量よりもBPAの方がより取り込まれていた。今回は単純に培養液中に薬剤を添加するのみであったことから、平成20年度は、その他の手法(リポソーム法など)を用いたホウ素化合物の細胞内への取り込み効率についても検討することにしている。 中性子による細胞障害性を検討する手法として、細胞内の構造物の経時的な変化を追うことに着目した。細胞は細胞周期と連動して、放射線照射後に急速に死に至るものと、数日経過して死に至ることが知られ、後者については細胞の多核化が関与していることを以前、我々は報告した。そこで、細胞周期調節因子と細胞分裂との関連が指摘されているライセンス化因子の一つであるジェミニンがグリオーマ細胞に及ぼす影響について検討したところ、ジェミニン発現が多い患者群で予後が良好であり、ジェミニンが発現している細胞の放射線感受性が高まる可能性が示唆された。また、グリオーマ培養細胞において、細胞分裂を調節する因子の一つであるSurvivinを抑制する実験を行ったところ、Survivinを抑制された細胞は中心体が過剰複製されて染色体が不安定化し、アポトーシスとは異なる細胞死を来すことによって放射線感受性が高まることが示唆された。これらの実験結果を踏まえ、最終年度となる来年度は中性子照射後の染色体不安定性についてさらに検討を進めたい。
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