2007 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞の生み出す多様性の原因解析と免疫療法への応用
Project/Area Number |
19591685
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
八幡 俊男 Kochi University, 医学部, 助教 (40380323)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 惠司 高知大学, 医学部, 教授 (50162699)
中林 博道 高知大学, 医学部付属病院, 講師 (70346716)
梶 豪雄 高知大学, 医学部, 助教 (70343366)
政平 訓貴 高知大学, 医学部付属病院, 助教 (80444769)
|
Keywords | 癌 / 発現制御 / 遺伝学 / 発生・分化 / 免疫学 |
Research Abstract |
悪性グリオーマは、高い浸潤性、薬剤・放射線耐性、多様な組織像を示す難治癌であり、この腫瘍に幹細胞様細胞が存在することが腫瘍の再発、各種療法に耐性の原因であると考えられている。我々は、悪性グリオーマ細胞株及び組織から癌幹細胞の分離培養を実施し、増殖因子の要求性、造腫瘍性について検索した。ヒトグリオーマ細胞株から分離した多くの癌幹細胞株の最適な増殖にはEGF及びbFGFが必要であった。一方、マウスグリオーマ細胞株RSV-M由来の癌幹細胞では両増殖因子に対する依存性が低いことが明らかとなった。従来、RSV-Mは脳内移植により腫瘍形成をさせる場合1×10^5程度の細胞が必要であるが、癌幹細胞では僅か100細胞の移植で腫瘍形成可能であったことから、極めて高い造腫瘍性を示す細胞集団であることが確認された。次に、悪性グリオーマ細胞株U87MGから分離した癌幹細胞の性質を薬剤耐性とそれに関わる遺伝子について検索した。多剤耐性遺伝子MDR1の発現量は親株と比較して、癌幹細胞では8.5倍高く、抗ガン剤doxorubicinを積極的に排出していることもFlowcytometryにより明らかとなった。MTT試験により癌幹細胞は抗ガン剤に対する耐性能が高いことも確認された。これらの結果から、癌幹細胞の分子標的としてMDR1が有用である可能性が示唆された。 癌幹細胞を標的とした免疫療法開発のために、悪性グリオーマ細胞株由来の癌幹細胞4株を用いて、癌精巣抗原遺伝子群から幹細胞特異的抗原を検索した。癌幹細胞でこれらの遺伝子の約1/3が親株と比較して高発現し、その発現制御にはプロモーター領域のDNAメチル化、ヒストンアセチル化が関与していることが明らかとなった。これらから、癌精巣抗原遺伝子は未分化な細胞において発現する遺伝子で、癌幹細胞特異的抗原として有力な候補であることが明らかとなった。
|
Research Products
(11 results)