2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞の生み出す多様性の原因解析と免疫療法への応用
Project/Area Number |
19591685
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
八幡 俊男 Kochi University, 教育研究部医療学系, 助教 (40380323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 惠司 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (70116044)
中林 博道 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (70346716)
梶 豪雄 東北大学, 未来医工学治療開発センター, 助教 (70343366)
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Keywords | 癌幹細胞 / 癌精巣抗原遺伝子 / エピジェネティクス / 細胞分化 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
癌幹細胞は、腫瘍組織内に存在する唯一の自己複製能を保持する細胞であり、重要な治療標的として考えられている。本課題では、この細胞におけるエピジェネティックな因子の遺伝子発現に対する影響や免疫療法の標的としての可能性を検索した。悪性グリオーマ細胞株及び組織に由来する幹細胞マーカーCD133やSOX2陽性の癌幹細胞は、血清を含む培地で培養すると、速やかにこれらの遺伝子発現を減少し、CDKインヒビターp21やp27の発現亢進を伴い分化することが観察された。これらの細胞は、各種抗癌剤に対して低感受性であり、多剤耐性遺伝子MDRIが癌幹細胞で発現亢進していた。エピジェネティックな因子の変動としては、ゲノム全体のヒストンH3とH4は、癌幹細胞では高アセチル化状態であり、分化と共に低アセチル化状態になることが観察された。これを受けて、その発現にエピジェネティックな影響を受け易い免疫療法の標的分子である癌精巣抗原遺伝子群内の31遺伝子に関して発現検索を行った。癌精巣抗原遺伝子は、癌幹細胞で高頻度に強発現を示すことが明らかとなった。この強発現は、プロモーター領域のDNAメチル化、ヒストンH3及びH4のアセチル化で制御されていることを確認した。これらの結果から癌精巣抗原遺伝子の不均一な腫瘍組織内での発現は、癌幹細胞とその分化細胞における発現量の違いに起因することが考えられるが、癌幹細胞を標的とする上でこれらの分子は免疫療法の標的として有力である可能性が示唆された。また、脳腫瘍で高頻度に発現する遺伝子として癌精巣抗原遺伝子SSX4を同定し、そのプロモーター領域が腫瘍特異的活性を示し、自殺遺伝子治療に有用であることを示した。このプロモーターは癌幹細胞においてもその活性が確認されたことから今後、高い抗腫瘍活性を示すベクター開発に利用可能である。
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Research Products
(17 results)