2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対する胚性幹(ES)細胞を用いた再生治療
Project/Area Number |
19591695
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中瀬 裕之 Nara Medical University, 医学部, 教授 (10217739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 文彦 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70433331)
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Keywords | 脊髄損傷 / 補体活性抑制 / 脊髄血流 |
Research Abstract |
脊髄損傷により一旦損傷をうけた神経組織は瘢痕形成を残して運動機能障害を残します。ES細胞移植治療は失われた神経組織を補う有望な治療方法ですが、ES細胞移植において腫瘍形成は克服しなければならない問題点です。今回の研究の目的は、「ES細胞移植治療の安全性を高める方法の開発」です。骨髄間質細胞は自己大腿骨から採取できる細胞群であり、その神経保護作用、神経分化誘導作用は近年多くの報告がなされております。今回我々は、骨髄間質細胞の神経保護作用、神経分化誘導作用に注目し、実験を計画しました。 まず実験1において未分化なES細胞由来の神経幹細胞は骨髄間質細胞により未分化性を脱し、より成熟した神経系細胞への分化誘導を認めました。実験2において、骨髄間質細胞同時移植群では、マウス脊髄損傷モデルに移植した未分化成分を含む神経幹細胞は、対照群のような腫瘍形成を認めず、nestin、 MAP2陽性の神経細胞へと分化誘導を認めました。つまり、骨髄間質細胞は脊髄損傷部位で、未分化な細胞の分化誘導を行い、未分化細胞の腫瘍形成を抑制しているとの結果が得られました。本研究での結果は、今後ES細胞移植治療の臨床応用において、ひとつのハードルを越える有望な方法になりえると考えられます。
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Research Products
(2 results)