2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫に対する複合的シグナル阻害剤による新規治療法の開発
Project/Area Number |
19591701
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
永根 基雄 Kyorin University, 医学部, 准教授 (60327468)
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Keywords | glioma / 分子標的治療 / シグナル伝達 / アポトーシス / Akt / EGFR / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
悪性gliomaにおいては腫瘍化に関わる遺伝子異常の中で,細胞増殖亢進・細胞死抑制など悪性腫瘍としての生物学的特徴に直接的に関与する因子が明らかとなってきた.そのため腫瘍細胞ではこのような因子への増殖・生存のための依存度が増大すると考えられ(pathway addiction),これらの因子を新規標的として阻害する分子標的治療が精力的に研究されている.EGFR遺伝子は, gliomaでの異常が高悪性度の膠芽腫主体に高頻度で認められ,細胞内のシグナル伝達を亢進させる機能が解析されてきた.EGFRのtyrosine kinase機能を阻害する分指標的治療は,gliomaに対する新規治療の根幹をなす可能性が期待される.われわれは,EGFRからのシグナル伝達の下流に位置する重要な因子の一つであるPI3K及びmTOR(いずれもAktを介するシグナル経路をなす)を標的とするLY294002やrapamycinによるヒトglioma細胞治療と,抗腫瘍剤治療の併用効果をMTTアッセイにて検討した.同時治療では,各単独治療に比べ十分な併用効果がこれまでのところ認められていない.まだ治療濃度・スケジュールが最適化されていない可能性,使用した細胞株で本シグナル経路が中心的な活性ではない可能性,EGFRからのシグナルが他の経路(Ras/MAPK経路など)へ主とし伝達されている可能性などが考えられ,詳細な検討を行っている.また,EGFRに対するヒトモノクローナル抗体(nimotuzumab)を使用し,temozolomideとの併用療法をマウスモデルで施行中であり,併用による抗腫瘍効果の増強が認められている.今後更に細胞死を誘導するTRAILなどの抗腫瘍治療薬との併用効果も検討する予定である.
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