2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈瘤の発生・増大機序の解明:脳動脈瘤モデルを用いて
Project/Area Number |
19591705
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
糟谷 英俊 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 教授 (50169455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 琢 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90318105)
赤川 浩之 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (60398807)
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Keywords | くも膜下出血 / 脳動脈瘤 / 高血圧 / イヌ / 腎動脈 / 脳動脈 |
Research Abstract |
イヌ脳動脈瘤モデルをすべて作成し終えた。イヌ9頭に脳血管撮影を行い(うち3頭はコントロール)、両側内頚動脈、舌動脈以外の外頚動脈を結紮した。腎動脈の血流量を減少させるために左側腎動脈を狭窄させた。処置1週間後より8%NaCl入り食餌を投与し、処置3ヵ月後血圧測定・血管撮影を行った。3ヶ月では脳動脈瘤は形成されていなかった。3ヶ月後より0.12%3APN+8%NaCl入り食餌、3ヶ月後にそけい部より血圧測定・血管撮影を行った。6ヶ月、すべての脳底動脈は拡大、一部蛇行しており、脳底動脈への血流の負担はかなりなものと考えられた(血行力学的負荷)。4頭に脳動脈瘤の形成、3頭に血管分岐部のふくらみをみている。これらを安楽死させ、脳底動脈を摘出しホルマリンに固定した。摘出標本の脳動脈瘤はほぼ脳血管撮影と一致していた。組織学的には中膜筋層が薄くなり血管平滑筋細胞が減少、結合組織が増えている。瘤の先端部は極めて薄くなっていた。また、マクロファージや好中球の浸潤がみられ、これらはこれまでの報告と一致する。現在、免疫染色を行ってさらに詳しく検討している。マウスやラットでは2,3ヶ月で30-70%の脳動脈瘤発生率であり、大型動物では、サルで1年後に3頭中1頭に発生したとの報告があるのみである。6ヶ月での脳動脈瘤の形成はそれなりに評価される結果と考えている。血管撮影で脳動脈瘤を経時的に把握できるのが、今回のモデルの最大の強みで、よりヒトに近い脳動脈瘤が作成できたと考えている。
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