2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591732
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮崎 展行 Wakayama Medical University, 医学部, 助教 (90438276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 映政 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30380752)
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経科学 / 生理学 / シグナル伝達 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
脊髄損傷による麻痺の主原因は直接外力による脊髄神経細胞の損傷であるが、遅発性に麻痺は急激に拡大する。直接外力による不可逆的な脊髄神経細胞損傷は治療困難であるが、急性期における遅発性脊髄障害への対策は非常に重要であり、長らく副腎皮質ステロイドホルモンの大量療法が施行されてきた。しかしながら、副腎皮質ステロイドホルモン大量療法の有効性は乏しいだけでなく副作用も多く、新しい作用機序を有する治療薬の登場が待ち望まれている。近年、脊髄損傷の急性期治療としてP2X_7受容体阻害薬が有効であると報告されて、脊髄損傷におけるATP受容体の関与が指摘された。しかしながら、脊髄前角細胞におけるATP受容体の機能的役割はほとんど知られていない。今回、ラット脊髄横断スライス標本にホールセルパッチクランプ法を適用し、脊髄前角細胞におけるATP受容体の役割を検討した。電位固定法を用いて保持膜電位を-70mVに固定して、代謝安定型のATP受容体広作動域作動薬であるATPγSを灌流投与すると、約40%の脊髄前角細胞において内向き電流が観察され。また、ATPγSによって内向き電流が観察される細胞にP2X受容体作動薬であるα、β-methylene ATPならびにBzATPを灌流投与したが内向き電流は観察されなかった。同様に、P2Y受容体作動薬であるUTPならびにUDPの灌流投与により内向き電流は観察されなかったが、2-methylthio ADPを灌流投与するとATPγSと同様に内向き電流が観察された。さらに、ATPγS灌流投与によって生じた内向き電流は、P2Y_1受容体拮抗薬であるMRS2179の存在下において完全に阻害された。以上の結果から、約半数の脊髄前角のシナプス後細胞においてP2Y_1受容体が発現しており、細胞外ATPによって脊髄前角細胞はP2Y_1受容体を介して脱分極することが明らかとなった。
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Research Products
(48 results)