2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591732
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮崎 展行 Wakayama Medical University, 医学部, 助教 (90438276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 映政 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30380752)
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経科学 / 生理学 / シグナル伝達 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
ラット脊髄横断スライス標本にホールセル・パッチクランプ法を適用し、脊髄運動ニューロンにおけるプリン受容体の役割を検討した。電位固定法を用いて膜電位を-70mVに保持して、代謝安定型のATP受容体作動薬であるATPγS(100μM)を灌流投与すると、約半数の脊髄運動ニューロンにおいて内向き電流が発生すると共に、グルタミン酸を介する興奮性シナプス後電流の発生頻度ならびに振幅は著明に増加した。ATPγS(100μM)によって内向き電流が観察される細胞に、P2Y受容体作動薬である2-methylthio ADP (100μM)を灌流投与すると、内向き電流が観察されたが、興奮性シナプス後電流の発生頻度ならびに振幅に変化はみられなかった。また、ATPγS灌流投与によって生じた内向き電流は、記録電極内にGDPβS(2mM)を加えることによって有意に抑制された。一方、P2X受容体作動薬であるα,β-methylene ATP (100μM)ならびにBzATP (100μM)は保持膜電流に全く影響を与えなかったが、α,β-methylene ATP (100μM)は興奮性シナプス後電流の発生頻度ならびに振幅を著明に増加した。以上の結果から、脊髄運動ニューロンのシナプス前にはα,β-methylene ATP感受性のP2X受容体などプリン受容体が発現しており、その活性化によってグルタミン酸の遊離が増強する。さらに、シナプス後細胞にも2-methylthio ADP感受性のP2Y受容体などプリン受容体が発現しており、その活性化によって直接的に脊髄運動ニューロンを脱分極することが明らかとなった。脊髄損傷の急性期における脊髄運動ニューロンの遅発性神経障害にシナプス前ならびにシナプス後細胞のプリン受容体が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(58 results)