2007 Fiscal Year Annual Research Report
退行変性性腰痛症に対する新たな治療法開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19591734
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千葉 一裕 Keio University, 医学部, 准教授 (80179952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高石 官成 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60236180)
辻 崇 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60296639)
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Keywords | エストロゲン / 椎間板変性 / 2型コラーゲン / 骨粗鬆症 / 軟骨 / TGF-β / Smad |
Research Abstract |
椎間板退行変性の機序を解明し、新たな治療法開発につながる知見を得るべく、以下の実験を行った。エストロゲン欠乏が、椎間板変性に及ぼす影響を検討するため、卵巣摘出術後ラット(OVX群)を用いて骨粗鬆症モデルを作成し、椎間板の分子生物学的な解析を行った。椎間板、終板にはエストロゲン受容体(ER)α、βが発現しており、OVX群では椎間板細胞数の減少、II型コラーゲンのmRNA発現量の低下、軟骨終板の変性を認め、Sham群と比較して椎間板変性が進行していた。そこで椎間板および軟骨細胞に対するエストロゲンの直接作用を検討するため、8週齢ラット椎間板細胞と新生仔マウス由来肋軟骨細胞を培養し、17β-estradiol(E2),TGF-βl刺激およびSB431542(ALK-4/5/7阻害剤)を添加した状態でのII型コラーゲンの発現量を解析するとともに、ERを介したII型コラーゲン遺伝子(Col2al)の転写活性を検討するために、ERα・ERβ・活性型Smad3発現ベクターならびにCol2alpromoter-Luciferaseベクターを用いて、Cos7細胞でレポーターアッセイを行った。椎間板細胞、肋軟骨細胞ともに、E2とTGF-β1刺激によりII型コラーゲンのmRNA発現量は相加的に増加し、SB431542の添加により抑制された。Col2al転写活性の上昇は、ERαに依存しており、活性型Smad3により相乗的に増加した。エストロゲン欠乏によるラット椎間板変性の機序として、活性型エストロゲン受容体のTGF-βシグナルを介したCol2alに対する直接的作用と、軟骨終板の変性を介した拡散障害による間接的作用が考えられ、閉経に伴うエストロゲン欠乏は、椎間板変性のリスクファクターに成り得る可能性があり、今後椎間板変性に対する新たな治療法開発に寄与する知見が得られた。
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