2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病におけるAGEs蓄積が軟骨変性に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
19591759
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
廣瀬 隼 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (40433007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 博志 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (60174025)
鬼木 泰成 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (20423684)
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Keywords | 変形性関節症 / 糖尿病 / 糖化最終産物(AGEs) / receptor for AGEs(RAGE) |
Research Abstract |
平成20年度は高血糖状態が軟骨細胞に及ぼす影響を確認した。5週齢Wistarラットの関節軟骨より軟骨細胞を単離培養して、培養液にglucoseをそれぞれ5mM,10mM,20mM,30mM添加した群を作成した。1週、2週、4週後に以下の検討を行った。 1.軟骨細胞内AGEs蓄積の評価:抗AGEs抗体6D12を用いたculture slideの免疫染色では、すべての群で細胞内AGEsは確認されなかった。軟骨細胞のcell lysateを用いたWestern blottingでは、Pentosidineが検出されたが、glucose濃度による差はなく、他のAGEs(CML,CEL)は検出されなかった。 2.RAGE発現の評価:軟骨細胞のRAGEはRT-PCRとWestern blottingでともに検出され、培養期間が長いほど発現が強かったが、glucose濃度の違いによる発現量に差はなかった。 3.軟骨細胞機能の評価:RT-PCRによるII型コラーゲンとアグリカンのmRNA発現量は各群間で差がなかった。 4.小胞体ストレスの評価:軟骨細胞のユビキチンはWestern blottingにより、XBP-1とCHOPのmRNA発現はRT-PCRで確認されたが、glucose濃度による差はなかった。しかし、ユビキチンとCHOPの発現は4週培養が2週培養より強かった。 以上の結果をまとめると、培養期間が長くなればRAGEの発現やER stressは上昇したが、glucose濃度が変化しても軟骨細胞内のAGEs蓄積やER stressの上昇はなく、細胞機能も障害されなかった。つまり500mg/dl程の高血糖状態では、関節軟骨にはAGEs蓄積およびER stressが上昇しないことが確認され、糖尿病における軟骨変性には別の要因が関与していることが示唆された。
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