2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病におけるAGEs蓄積が軟骨変性に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
19591759
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
廣瀬 隼 Kumamoto University, 医学部附属病院, 講師 (40433007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 博志 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (60174025)
鬼木 泰成 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20423684)
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Keywords | 変形性関節症 / 糖尿病 / 糖化最終産物(AGEs) / receptor for AGEs(RAGE) |
Research Abstract |
平成21年度は糖尿病ラット(GKラット)における滑膜組織へのAGEs蓄積と軟骨のsusceptibilityに及ぼす影響について組織学および分子生物学的に検討し、Wistarラット(対照群)と比較検討した。 1.滑膜組織の評価 20週齢の両群ラットの右膝関節を採取してパラフィン標本を作製した。左膝関節からは滑膜組織を採取し、mRNAと蛋白質を抽出して、以下の検討を行った。 (1)組織学的評価:HE染色による滑膜形態は両群とも正常だった。免疫染色ではAGEs(Pentosidine、CML)とMMP-13が軟骨と滑膜ともに強く陽性に染色されたが、RAGEの染色性は弱かった。 (2)蛋白・mRNA発現:Western blottingによる滑膜組織のPentosidine、CML、RAGEおよびMMP-13の発現を認めたが、qRT-PCRによるmRNA発現はRAGE、MMP-13ともに弱かった。組織学的評価および蛋白・mRNA発現はいずれもラットの二群間で差はなかった。 2.ラット変形性膝関節症モデルでの評価 20週齢のGKラットとWistarラットの右膝関節前十字靭帯を切離(ACLT)し、術後2週、3週、4週目にラットを屠殺して、膝関節を採取し、脱灰後にパラフィン標本を作製した。 (1)軟骨変性度:ACLT切離後の時間の経過に伴って勢骨の変性は進行した。術後3週時の大腿骨のみにおいてGKラットがWistarラットに比べ変性が強かったが、4週時では両群に差がなかった。 (2)滑膜変化:ACLT2週後から滑膜の肥厚、血管増生、細胞浸潤、肉芽形成を認め、術後3週、4週時にも同等の所見がみられた。これらの変化はGKラットとWistarラット間で差がなかった。 (3)免疫組織学的評価:滑膜のAGEsとMMP-13は強く染色されたが、RAGEの染色性はわずかだった。ACLTによる染色性の増強はなく、GKラットとWistarラット間で差がなかった。 以上の結果より、糖尿病ラットにおける滑膜のAGEs蓄積およびACLTによる軟骨や滑膜の変化は正常ラットと明らかな違いは認められず、糖尿病の関節内AGEs蓄積や軟骨変性への関与は証明されなかった。
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