2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591765
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀内 圭輔 Keio University, 医学部, 講師 (30327564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸山 芳昭 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40129549)
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Keywords | ADAM17 / TACE / 免疫学 / 骨代謝学 / Ectodomain Shedding |
Research Abstract |
膜蛋白の切断と可溶化作用を担うEctodomain shedding(以下shedding)は膜蛋白の重要な転写後機能調節機構の一つであり,近年注目を集めている分野である.TNFα converting enzyme (TACE/ADAM17、以下TACE)は膜型蛋白として産生されるTNFα前駆体をsheddingする酵素として同定された遺伝子であるが,その後の研究からその基質がTNFαだけでなく,EGFR(Epidermal growth factor receptor)のリガンドをはじめとして,数多くの膜型リガンド、受容体,接着分子のsheddingに関与していることが示されている.本研究ではCre-LoxPシステムを用いたTACEコンディショナルノックアウトマウス(Tace^<flox/flox>)をもとにTACEが血液細胞以外の広範な組織から欠損した遺伝子改変マウスを作成し,TACEの生理機能の解明を試みた.本変異マウスは骨、皮膚、毛根、脾臓、卵巣、脂肪などの組織において異常を呈し,このことからTACEが生体の恒常性維持および個体の成長において予想以上に多岐に渡った機能を有することが示された.また,骨形態計測およびFACS解析から本変異マウスでは高回転型骨粗鬆症様の骨病変と,脾腫および造血亢進を呈していることが明らかとなった。血清中のサイトカインを解析したところIL-17・G-SF (骨吸収の促進と,幹細胞の遊走,顆粒球分化促進作用を有する)の発現に著明な亢進を認めたことから,TACEは生体においてIL-17・G-CSFの発現調節に関わっており,その発現調節を介してTACEが骨代謝・造血制御に関与していることが考えられた.これらの知見はTACEのin vivoにおける種々の新規機能を見出しただけでなく,生体恒常性を保つ上でのsheddingの重要性を明確に提示したという意味でも極めて重要であると考えられる.
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