2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591767
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
齋藤 充 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (50301528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西沢 哲郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50439791)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 動物モデル / 骨質治療 |
Research Abstract |
高ホモシステイン(以下Hcys)は、食事から摂取されるメチオニンの中間代謝産物である。我々は、我が国のコホート研究において、血中のHcys高値とその代謝に関わる酵素MTHFRの遺伝子多型が、骨密度とは独立した骨折リスクとなることを明らかにし、さらに、血中のHcys高値を示す骨粗鬆症例では、骨質因子であるコラーゲンの架橋形成に異常が生じていることを報告した。そこで、本研究の目的は、Hcysによる骨質低下の機序を明らかにするために、血中Hcys高値が持続する動物モデルを作製し、骨密度、骨強度、骨質を網羅的に解析することにある。 方法としては、成熟new Zealand白色家兎に、卵巣摘出(OVX)あるいはSham手術を施行し、それぞれ通常食群と1%メチオニン混餌群にわけ、8カ月間飼育した後に大腿骨、第4腰椎を採取した。各々に、血中Hcys濃度、骨代謝マーカー、骨密度、骨強度、コラーゲン架橋(生理的架橋:未熟型,成熟型,非生理的架橋:老化型AGEs架橋,ペントシジン)分析を行った。 混餌投与群の血中Hcys濃度は、通常食群に比べ有意に高値を示し、我々が報告したヒト骨粗鬆症に類似した架橋異常が誘導されていた。さらに、混餌群にOVXを加えると、架橋異常はさらに増悪し、また、同モデルでは、骨密度の低下を伴わない骨強度の低下を生じた。 これらのことから、高Hcys血症に伴う骨質低下モデルを初めて確立し、Hcysが骨コラーゲンの架橋異常を惹起し、骨密度とは独立した機序で骨脆弱化をもたらすことを明らかにした。よって、本モデルは、骨質評価・治療を目指した創薬への応用が期待できる。
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