2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁図による選択的末梢神経刺激時の脳内反応評価-先天性無痛無汗症での評価-
Project/Area Number |
19591780
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨岡 俊也 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (10332610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 信幸 東京歯科大学, 附属病院, 助教 (20408313)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 臨床 / 先天性無痛無汗症 / 脳磁図 |
Research Abstract |
遺伝性感覚性自律神経ニューロパチーの第IV型である先天性無痛無汗症(Congenital Insensitivity to Pain and Anhidrosis;以下CIPA)患者を対象に、感覚(落痛を含む)刺激時の脳における認識機構を、機能的脳画像診断法を用いて調査した。機能的脳画像診断法のうち申請者らは、時間的解析能および空間的解析能の有利さを考慮し、脳磁図検査をCIPA患者に適応した。その結果、CIPA患者では、電気刺激を用いた体性感覚検査では刺激に対する磁場応答として潜時で約20ms、40ms、70msの3つのピーク波が共通して認められ、潜時20msでの体性感覚誘発脳磁場(SEF)から推測されるEquivalent Current Dipoles(ECDs)は全例で刺激房対側の一次体性感覚野(SI)に観察され、対象群と同一であることが確認された。さらに、触圧覚刺激装置を用いた末梢Aβ-線維の選択約刺激、およびCO2レーザによる末梢C-線維の選択的刺激においても体性感覚検査と同様に、対象群とCIPA患者の間に明らかな差異は認められず、胎生期における神経成長因子(NGF)の欠乏によって引き起こされる末梢Aδ-、C-線維の欠落が主病因であり、なかでも末梢C-線維の欠落が大きな病因とこれまで説明されてきたCIPAの病態が、必ずしも正しくはないことが示唆された。すなわち、CIPA患者は末梢において痛覚刺激あるいは侵害刺激を末梢受容器で受容し、その活動が大脳、特に島皮質レベルまで上行しているが、そこで痛覚刺激、あるいは侵害刺激を感じていない可能性が今回の研究によって示唆された。
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Research Products
(17 results)