2008 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症における上室性頻拍の病態解析 -発生機序の解明と治療法の確立-
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19591782
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
畠山 登 University of Toyama, 大学病院, 准教授 (70251907)
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Keywords | 敗血症 / 頻脈性不整脈 / 心筋 / カルシウムチャネル / ナトリウムチャネル |
Research Abstract |
敗血症は感染に合併する全身性炎症反応を特徴とし,周術期に高い死亡率を示す病態として知られている。この敗血症病態では,上室性頻拍や心房細動などの不整脈がしばしば観察されるが,その発生機序や治療については現在も不明な点が多く,抗不整脈薬の選択指針も不明瞭である。 そこで我々は,敗血症病態を作成したモルモット単離心房筋において,活動電位に着目し,活動電位に関わるナトリウム,カルシウム,カリウムの各イオンチャネルが敗血症によりどのように変化を来しているかについて,電気生理学的および分子生物学的に検討を行った。まず,活動電位において,敗血症病態は活動電位の持続時間を短縮させることを観察した。さらに,電位依存性ナトリウムチャネルについては電流値に変化は認められなかったが,電位依存性L型カルシウムチャネル電流は有意に抑制され,さらに遅延整流性カリウムチャネル電流は増大する傾向が見られた。また,RT-PCRによる解析により電位依存性ナトリウムチャネル(Nav1.5)の発現に敗血症病態による影響は観察されなかったが,western blotによる解析において電位依存性L型カルシウムチャネルサブユニットの発現が敗血症病態により抑制されることが観察された。 これらの結果より,敗血症病態においては電位依存性L型カルシウムの発現抑制によりチャネル電流の抑制が起きるとともに,再分極相における遅延整流性カリウムチャネル電流の増大により,活動電位持続時間の短縮が起こり,不応期を相対的に前倒しにすることにより頻脈性不整脈が発生しやすくなる環境を形成するものと考えられた。
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Research Products
(4 results)