2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳内における不安と痛みの相互作用機序解明および新しい慢性疼痛治療法の開発
Project/Area Number |
19591783
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山崎 光章 University of Toyama, 医学薬学研究部, 教授 (70158145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 利佳 富山大学, 医学薬学研究部, 助教 (10345572)
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (40318613)
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Keywords | neuropathic pain / antidepressants / light-dark test / elevated plus-maze test / nerve-ligated mice / amygdala / cingulated cortex / serotonin |
Research Abstract |
本年度は、抗うつ薬を用いて落痛時の不安感受性亢進に対する効果を検討し、また抗うつ薬の抗侵害効果、抗不安効果の脳内作用機序について検討した。 神経障害性疼痛モデルはマウスの右側後肢大腿部座骨神経を半周結紮することにより作製した。1)熱痛覚過敏反応、アロディニア反応を測定した。2)不安感受性の測定には明暗試験法および高架式十字迷路試験法を用いた。3)オピオイド受容体およびセロトニンの機能変化を[35S]GTPγSbinding aasay法に従い検討した。4)脳内への微量注入はmicroinjection法を用いた。 マウスは座骨神経結紮後4週間神経因性疼痛を示し、熱痛覚過敏反応およびアロディニア反応を示した。結紮4週間後には、明暗試験法と高架式十字迷路試験法で不安感受性の亢進が認められた。一方、低用量の抗うつ楽であるイミプラミン、ミルナシプラン、パロキセチン、マプロチリンを投与したところ、熱痛覚過敏反応およびアロディニア反応の減弱が認められ、4週間後の不安感受性も回復した。神経障害性疼痛により不安感受性亢進の認められた前頭前野および扁桃体では、δオピオイド受容体作動薬およびセロトニンによるGタンパク質活性作用に減弱が認められ、受容体機能低下が示唆された。さらにパロキセチンを前頭前野および扁桃体に微量注入することにより慢性終痛時の不安関連行動が抑制された。 慢性疼痛により、不安関連行動の生ずることがマウスで示された。抗うつ薬は疼痛に伴う不安などの情動障害の治療に有用であることが示された。さらに慢性疼痛に伴う不安は、前頭前野および扁桃体のδオピオイド受容体やセロトニン受容体のdown regulationと関連すると考えられた。これらから慢性疼痛患者の疼痛や不安に対する抗うつ薬の臨床使用への有用性が示唆された。
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Research Products
(2 results)