2008 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素誘導性因子1を介した生体内酸素代謝維持機構への周術期使用薬剤の影響の検討
Project/Area Number |
19591789
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高淵 聡史 Kyoto University, 医学研究科, 客員研究員 (90402841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 喜一 京都大学, 医学研究科, 講師 (00283606)
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Keywords | 遺伝子 / 細胞 / 低酸素 / シグナル伝達 / 転写因子 / HIF-1 / ストレス |
Research Abstract |
酸素濃度感知性転写因子であるhypoxia-inducible factor 1(HIF-1;低酸素誘導性因子1)と低酸素センサーの活性を指標に明らかにあるために培養細胞を用いた実験系とラットや遺伝子改変マウスを用いた実験系を用い酸素供給と需要のバランスで決定される酸素ホメオスターシスを分子生物学を援用しリアルタイムでモニターする実験系をin vitroまたin vivoで構築し、低酸素応答性の遺伝子発現またその結果としての細胞、組織の表現型と合わせて評価することが本申請の目的であった。昨年度の研究成果を受けて今年度は以下の研究成果を得た。#1 in vitro細胞酸素消費測定系の確立 クラーク電極を用いた酸素分圧測定を使い、培養細胞の酸素消費量、細胞内ATP濃度、細胞培養上清中の乳酸・ピルビン酸の濃度の実験系を確立した。各種のミトコンドリア電子伝達系の阻害薬を用いた検討により細胞の種類により酸素消費量のミトコンドリアへの依存率に差がある事が判明した。静脈麻酔薬であるpropofol, thiopental, thyamilalがHIF-1活性を阻害することにより解糖系主体の代謝経路の抑制がおこり細胞内ATP濃度が減少することを見いだした。 #2低体温が生体の低酸素誘導性の遺伝子発現に及ぼす影響を検討するため培養細胞とマウスを用いた実験系を構築して以下の様な結果を得た。 摂氏32度程度の低温は4時間以内では培養細胞、脳における低酸素誘導性のHIF-1活性化やその下流遺伝子発現に大きな影響を及ぼさない。一方24時間にわたる低温への暴露によりHIF-1の活性化が阻害された。 #3マウス個体を低酸素環境下で飼育し薬剤を処理を施し脳、肝臓、心臓、肺、筋肉など各種臓器のHIF-1活性化をアッセイする実験系を確立した。
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