2007 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の神経保護メカニズム:MAPキナーゼとカルシウム動態からの解明
Project/Area Number |
19591790
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澁田 達史 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (20324767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
上林 卓彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10273640)
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Keywords | 静脈麻酔薬 / ケタミン / チオペンタールナトリウム / 神経保護作用 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
静脈麻酔薬ケタミンはNMDA拮抗薬として様々な研究において神経保護作用が認められているが、副作用の点から臨床使用にはあまり用いられていない。今回、我々はチオペンタールナトリウムとケタミンを混合投与することによりそれぞれ少量の薬物濃度でより高度の神経保護効果が得られるか調べた。妊娠16日目のWistarラット胎児大脳皮質神経細胞を14日間培養し実験に使用した。各培養神経細胞皿に対しケタミン及びチオペンタールナトリウムを種々の濃度にて混合または単独投与し、NMDAまたはNOCによる低酸素モデルに24時間暴露し細胞生存率を形態学的方法により判定した。NMDA,NOC投与による細胞生存率はそれぞれ15.0(3.8)%,12.8(3.1)%であった。ケタミン投与群ではNOCによる神経毒性に対する保護作用は見られなかったがNMDAによる毒性に対しては高濃度群(5mM,10mM,50mM)で有為な神経保護作用が見られた:生存率57.9(2.2)%,61.1(5.4)%,76.7(3.0)%。一方、チオペンタールナトリウム(50mM)での細胞生存率は36.7(5.9)%であった。またケタミン(5mM,10mM)およびチオペンタールナトリウム(50mM)混合投与群ではそれぞれの麻酔薬単独投与群に比べて神経保護作用の増強効果が見られた:生存率71.3(4.8)%,74.7(3.7)%。ケタミンは臨床使用濃度にてNMDA神経毒性に対して保護作用を示したがNOCによる毒性に対しては無効であった。NMDA神経毒性に対してはケタミンとチオペンタールの臨床使用濃度による混合投与がより効果的であった。
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Research Products
(1 results)