2008 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の神経保護メカニズム:MAPキナーゼとカルシウム動態からの解明
Project/Area Number |
19591790
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澁田 達史 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (20324767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10110785)
上林 卓彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10273640)
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Keywords | 神経保護作用 / フリーラジカル / スカベンジ / 大脳皮質 / 培養細胞 / 麻酔薬 |
Research Abstract |
3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワンはフリーラジカルスカベンジャーとして様々な研究においてその効果が報告されている。神経細胞に対する保護作用に関してもいくつかの研究において調査されているが、長期間暴露された低酸素に対する神経保護作用に関してはまだ報告がない。今回、我々は3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワンを培養脳神経細胞に投与することにより24時間以上の低酸素を暴露した場合の神経保護作用を調べた。妊娠16日目のウイスターラット胎児大脳皮質神経細胞を14日間培養し実験に使用した。各培養神経細胞皿に対し3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワンを50nM to50microMの濃度にて投与し、無酸素インキュベーター内に24から48時間留置した後に細胞生存率を形態学的方法により判定した。 24時間低酸素暴露群のコントロール群における細胞生存率は11.0±1.6%であった。比較的低濃度(1microM以下)の3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワン投与下においては細胞生存率の上昇はみられなかった。一方で、5、50microMの各濃度ではそれぞれ28.0±4.5%,46.4%±4.9%と有為な細胞生存率の上昇が確認された。また、低酸素暴露を行わなかった場合に3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワンは細胞生存率に対して影響を与えることはなかった。これらの結果をフリーラジカルスカベンジャーとしての機能を持つとされるチオペンタールナトリウムと比較したところ50microMの投与下において、24時間無酸素暴露を行った場合で57.9%であった。従って、現時点ではチオペンタールナトリウムの方が強力な神経保護作用を有する可能性が高いと推測される。
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Research Products
(1 results)