2009 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の神経保護メカニズム:MAPキナーゼとカルシウム動態からの解明
Project/Area Number |
19591790
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澁田 達史 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (20324767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10110785)
上林 卓彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10273640)
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Keywords | 神経保護作用 / 低温 / 高温 / フリーラジカル / スカベンジ / 大脳皮質 / 培養細胞 / 麻酔薬 |
Research Abstract |
フリーラジカルスカベンジャー、3-メチル-1-フェニル-2-ピラソリン-5-ワンの神経細胞に対する保護作用に関し、長期間暴露された低酸素に対する神経保護作用に関して、温度の差異による影響を調べた。今回、我々は3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワンを培養脳神経細胞に投与することにより24時間の低酸素を暴露した場合の神経保護作用を軽度低温(32度)、常温(37度)、高温(39度)状態において調べ比較検討した。妊娠16日目のウイスターラット胎児大脳皮質神経細胞を14日間培養し実験に使用した。各培養神経細胞皿に対し3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワンを50nM to 50 microMの濃度にて投与し、無酸素インキュベーター内に24時間留置した後に細胞生存率を形態学的方法により判定した。常温下、低酸素暴露群のコントロール群における細胞生存率は14.7±1.8%であった。比較的低濃度(500nM以下)の3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワン投与下においては細胞生存率の上昇はみられなかった。一方で、5、50 microMの各濃度ではそれぞれ26.7±4.7%, 40.5%±4.7%と有為な細胞生存率の上昇が確認された。高温下低酸素暴露群では、対照群の細胞生存率は9.1±2.2%で常温群に比べ生存率が有為に低かった。比較的低濃度(500nM以下)の3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワン投与下においては細胞生存率の上昇はみられず、一方、5、50 microMの各濃度ではそれぞれ24.5±3.3%, 39.5%±3.5%と有為に細胞生存率が常温下低酸素暴露群と有為差が消失するまで上昇することが確認された。一方で低温下低酸素暴露群では、対照群の細胞生存率が63.0±5.2%と、常温群に比べ有為に高く、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワンを投与しても細胞生存率に影響はみられなかった。以上の結果より低酸素暴露に対しては低温による神経保護作用が3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワン投与の神経保護効果を上回った。一方で、常温及び高温下では3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-ワン投与により細胞生存率は有為に上昇したことにより、神経保護作用が明らかになったと考えられる。
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