2009 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性全身麻酔薬の副作用の分子機構:モーター蛋白1分子レベルでの解明
Project/Area Number |
19591792
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 善一 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (70278844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩根 敦子 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (30252638)
柳田 敏雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10110785)
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Keywords | 揮発性麻酔薬 / 麻酔メカニズム / モーター蛋白 / キネシン / 微小管 / アクチン / ミオシン |
Research Abstract |
揮発性麻酔薬の種々の副作用のうち心筋収縮抑制作用については、細胞内カルシウム濃度の低下に加え、アクトミオシン系の直接抑制作用によるものである可能性も大きいと考えられる。本年度はまず、揮発性麻酔薬セボフルラン・イソフルランがモーター蛋白ミオシン運動能に与える直接作用を検討するための実験を行った。アクチン・ミオシンはウサギ骨格筋から抽出精製し、アクチンモノマーに蛍光色素テトラメチルローダミンをラベル、重合させて蛍光アクチンフィラメントを作成した。ミオシン分子をカバーガラス表面に吸着させ、その上に蛍光アクチンフィラメント・2mM ATPを含むbuffer (20mM HEPES [pH 7.4], 25mM KC1, 5mM MgCl_2, 25℃)を灌流、アクチンフィラメントがカバーガラス表面のミオシン分子上をATP存在下で滑走する様子を蛍光顕微鏡下に観察、画像処理用コンピュータに画像を記録観察した。麻酔薬を添加しないコントロールの条件でのアクチンフィラメントの滑走速度が安定しなかった為、本年度は麻酔薬の効果の評価までには至らなかった。 昨年度までにある程度成果の得られたキネシン-微小管運動再構成系に対する揮発性麻酔薬の直接・可逆的な運動抑制作用については、実験結果を確固としたものとするための再実験(in vitromotility assay, MT-activated kinesin ATPase活性測定)を行い再現に成功し、現在学術論文の執筆を進めている。 また、以上一連の研究結果は以前の我々の研究で得られた局所麻酔薬がアクトミオシン系やキネシン-微小管系に与える効果の結果(Biophys J 71 : 2733-2741, 1996, Biophys J 78 : 940-949, 2000)と併せ、本年度の第57回日本麻酔学会学術集会(2010年6月)のシンポジウムにて発表予定である。
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