2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591795
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 徹 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40252952)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森松 博史 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30379797)
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40108171)
|
Keywords | 急性肺障害 / ヘムオキシゲナーゼ-1 / 一酸化炭素 / 出血性ショック / 炎症 / ヘム / 好中球 / 転写因子 |
Research Abstract |
周術期管理学の進歩にも関わらず侵襲の大きな手術や出血性ショック蘇生後に発生する急性肺害/急性呼吸促迫症候群(ALI/ARDS)の死亡率は依然として高い。しかし、ALI/ARDSに対して決め手となる治療法は未だ確立されていない。ALI/ARDSでは過剰な炎症反応の結果、肺に集積した好中球が遊離する活性酸素やプロテアーゼによる細胞傷害がその病態生理に大きな役割を果たしている。従って、ALI/ARDSに対する有効な抗炎症療法を開発は、ALI/ARDSの新しい治療法の開発につながると考えられる。我々はこれまで出血性ショック蘇生(Hemorrhagic shock followed by resuscitation: HSR)後ALI/ARDSモデルを用いてストレス蛋白HO-1の薬理学的誘導がその抗炎症作用を介してALI/ARDSを改善することを報告してきた。一方、近年の研究により、HO-1の抗炎症作用はHO-1の酵素反応(ヘム分解反応)の結果生ずる-酸化炭素(CO)を介することが明らかとなった。以上の背景より、申請者らは低濃度のCOをラットALI/ARDSモデルに吸入投与し、その治療効果を分子生物学的側面から検討した。その結果低濃度CO吸入は炎症カスケードを抑制-転写因子NF-kappaB, AP-1の抑制、炎症性メディエーター遺伝子発現の低下、侵潤好中球数の減少-を介して肺障害を改善することをしめした。以上より、極低濃度のCO吸入はHSR後のALIに対して保護効果を示し、今後のALI/ARDSに対する新しい治療法になる可能性が考えられた。
|