2008 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポエチンとインスリン様成長因子1の脊髄保護効果の検討とシグナル伝達の解明
Project/Area Number |
19591797
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松本 美志也 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60243664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 敦生 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50379971)
若松 弘也 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80379966)
坂部 武史 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40035225)
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Keywords | エリスロポエチン / インスリン様成長因子1 / 脊髄虚血 / 家兎 |
Research Abstract |
平成20年度は、平成19年度の研究結果を基に、エリスロポエチン(EPO)とインスリン様成長因子1(IGF-1)の高用量とその併用の虚血前投与による脊髄保護効果を検討した。 【方法】家兎を用い、脊髄虚血30分前に以下の薬物を投与した。群分けは、(1)生理食塩水(対照群)、(2)EPO800U/kg(EPO群)、(3)IGF-1 0.3mg/kg(IGF群)、(5)EPO800U/kg+IGF-1 0.3mg/kg(EPO+IGF群)、各群n=9とした。 脊髄虚血時間は13分間とし、再灌流後7日間後肢運動機能を観察した。後肢運動機能は5段階評価とした(4:正常、3:跳躍はできるが正常ではない、2:後肢はよく動くが跳躍できない、1:後肢がわずかに動く、0:後肢の完全麻痺)。その後、脊髄を灌流固定し、HE染色により腰部腹側脊髄の正常神経細胞数を計測した。 【結果】再灌流7日後の後肢運動機能スコアは、対照群で4:1羽、3:2羽、2:3羽、1:0羽、0:3羽、EPO群で4:3羽、3:3羽、2:3羽、1:0羽、0:0羽、IGF群で4:1羽、3:3羽、2:1羽、1:0羽、0:4羽、EPO+IGF群で4:5羽、3:4羽、2:0羽、1:0羽、0:0羽で、EPO+IGF群が有意に良好であった。正常神経細胞数(平均値)も、対照群27、EPO群51、IGF群29、EPO+IGF群70とEPO+IGF群が有意に良好であった。 【考察・結語】過去の報告では、EPOとIGF-1には強い保護効果が観察されているが、本研究では、有意な保護効果は観察されなかった。しかし、両者の併用には強い保護効果が観察された。EPOとIGF-1はともにAktを活性化する作用があるが、両者の併用により、Aktの活性化が増強されたか否かを確認する必要がある。
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