2007 Fiscal Year Annual Research Report
全身の炎症反応が脳虚血および低体温による脳保護効果へ及ぼす修飾作用
Project/Area Number |
19591799
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石田 和慶 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 講師 (80314813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 靖彦 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90304485)
平田 孝夫 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (40420533)
坂部 武史 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40035225)
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Keywords | 脂肪塞 / 脳梗塞 / 炎症反応 / 脳浮腫 |
Research Abstract |
本年度は1)脂肪塞栓モデルの再確立と障害体積の定量化、および、2)手術後の高次脳機能障害(CD)を心臓大血管手術(心血管群)と整形手術で比較し、炎症反応との関係を検討した。 1)【方法】:Wistar ratを用い右外頚動脈断端から総頚動脈分岐部にカテーテルを留置し、99%triolein 2μLを5分かけて注入する脂肪塞栓モデルを作成した。それぞれ2時間、24時間観察した(対照群:生理食塩水2μLを注入し2時間観察)(各n=5)。各群で神経学的スコア(全身状態、運動・皮質運動能・感覚障害、障害なし0点、最大48点)を評価後、脳を摘出し脳浮腫を評価した。HE染色を行い8μmの標本を作製しNIHイメージソフトでの梗塞体積の評価を行った。 【結果】:Triolein各群のスコアは2時間22(平均)、24時間27、72時間24(対照群0)であった。2時間で著明な脳浮腫が形成され、24時間、72時間では一部脳の壊死・融解がみられた。HE染色で2時間群では障害部位において胞体の膨化及び核濃縮、空胞変性がみられた。時間経過とともに細胞浸潤を伴った壊死性変化を示した。 【考察】:trioleinでは、2時間という短時間で著明な脳浮腫が形成された。現在NIHイメージソフトを用いた梗塞体積の測定をすすめている。 2)【方法】脂肪塞栓のおこりやすい心血管群および整形手術(整高齢群≧50歳、整若年群<50歳)を対象とした。術後高次脳機能検査はMini-mental State Examination、Digit Span、Digit Symbol、かなひろいテスト(かな)を手術前と術後7〜9日目に施行し、20%以上の減少を低下とした。【結果】心血管群55例(年齢63±15)、整高齢群22例(65±9歳)、整若年群13例(28±10歳)で、CDの発症はそれぞれ40%、14%、8%、C群0で、心血管群、整高齢群の順でCDは多かった。整高齢群ではCDを生じた症例で術後の炎症反応(CRP)高値を示した。【考察】整形手術では術後の炎症反応とCDの関連が示された。
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