2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591807
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鬼塚 信 University of Miyazaki, 医学部, 助教 (20264393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏田 政利 宮崎大学, 医学部, 助教 (20336316)
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Keywords | リドカイン / アセチルコリン / 抑制性シナプス / パッチクランプ / アセチルコリン作動性シナプス |
Research Abstract |
局所麻酔薬の大量投与により、痙攣が誘発される。局所麻酔薬は末梢神経のNaチャネルをブロックして伝導を抑制するので、局所麻酔薬による中枢の興奮作用は、抑制細胞の抑制が原因であるという説が支持されてきた。これに対して、研究代表者らは、水性カタツムリの個々の細胞を用いた電気生理学的実験により局所麻酔薬が個々の細胞自体を電気生理学的に興奮させることを見いだした。そこで、局所麻酔薬中毒による痙攣は、個々の細胞の興奮性の増加が原因であると仮定した。 方法:局所麻酔薬のNaチャネル、 Kチャネル、 Caチャネルへの影響をホールセル・パッチクランプ法を用いて測定し解析した。シナプス前細胞をVD4、シナプス後細胞をLPeD1という個々の同定された細胞を用いてアセチルコリンを神経伝達物質とする抑制性化学シナプスを作製し、それぞれの細胞に電極を挿入し、パッチクランプ法で解析した。 結果:パッチクランプ法による解析で、局所麻酔薬はNaチャネルだけでなくKチャネル、 Caチャネルもブロックすることがわかった。さらに、それぞれのチャネルをブロックする濃度は細胞により異なり、 KチャネルがNaチャネルやCaチャネルよりブロックされた場合、脱分極し興奮することがわかった。試験管内における抑制性シナプスを用いた実験では、シナプス伝達はシナプス前細胞の膜電位に依存することがわかった。シナプス前細胞が過分極している場合は、シナプス後電位は大きいが、局所麻酔薬でシナプス前細胞が脱分極している場合は、シナプス後電位は小さくなり消失した。これは、神経伝達物質分泌に影響するカルシウムチャネルの膜電位依存性の不活化によることがわかった。また、シナプス後細胞におけるアセチルコリン受容体電流は、局所麻酔薬によって有意に抑制された。 以上の結果から、局所麻酔薬中毒による痙攣は、個々の細胞の興奮性の増加し、シナプス伝達が遮断されることが原因であると結論した。
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Research Products
(4 results)