2007 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄虚血後モルヒネ誘発痙性対麻痺の機序解明に関する研究〜一酸化窒素の開与〜
Project/Area Number |
19591809
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
垣花 学 University of the Ryukyus, 医学部, 准教授 (20274897)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 清哉 琉球大学, 医学部, 講師 (00363680)
斎川 仁子 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (20404569)
比嘉 達也 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (10404568)
|
Keywords | 脊髄虚血 / モルヒネ / 対麻痺 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
ラット大動脈遮断脊髄虚血モデルを用い、脊髄虚血後にくも膜下モルヒネを投与しその後におこる痙性対麻痺に対する、NOの関与を検討する目的で以下のように実験を行った。 C群(6匹):虚血後モルヒネ投与+生理食塩水、T群(6匹):虚血後モルヒネ投与+L-NAME投与 S群(6匹):虚血後生理食塩水投与+生理食塩:水、ST群(6匹):虚血後生理食塩水投与+L-NAME投与 比較項目は、経時的神経機能(下肢運動機能)、Spasnometerによる痙性度合い、ならびに病理組織学的見当を行った。 その結果、C群では脊髄虚血後モルヒネ投与により痙性対麻痺を来たしたが、生理食塩水投与により麻痺は変化しなかった。ところがT群でも、LNAME投与により下肢運動機能に優位な変化はなかった。一方、Spasnometerによる痙性評価では、T群ではC群に比較し痙性性は有意に低下した。 病理組織学的検討では、C群において脊髄腹側の脊髄前角細胞がところどころで濃染していたが、T群でもその細胞変化は認められた。 このことから、脊髄虚血後モルヒネ誘発対麻痺の痙性には、一酸化窒素が何らか関与していることが示唆させた。しかしながら、下肢運動機能ならびに病理組織学的変化には、一酸化窒素の関与はないと示唆される。しかしながら、免疫染色を含めた詳細な病理組織学的検討を今後遂行していく予定である。 本研究結果から、脊髄居虚血後のモルヒネ誘発対麻痺の発生機序のひとつとして、モルヒネ投与後の一酸化窒素産生がその運動機能に悪影響を及ぼしている可能性が示唆された。今後、一酸化窒素合成の部位(細胞レベル)の同定を、免疫染色で確認していく予定である。
|