2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄虚血後モルヒネ誘発痙性対麻痺の機序解明に関する研究〜一酸化窒素の関与〜
Project/Area Number |
19591809
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
垣花 学 University of the Ryukyus, 医学部, 准教授 (20274897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 清哉 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (00363680)
齊川 仁子 琉球大学, 医学部, 助教 (20404569)
比嘉 達也 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (10404568)
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Keywords | 脊髄虚血 / 対麻痺 / 麻薬 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
ラット大動脈遮断による脊髄虚血モデルを用い、非障害性短時間脊髄虚血(6分間)の後にくも膜下腔(IT)にオピオイドを投与することにより誘発される対麻痺に脊髄NOが関与しているか否かについて検討した。 あらかじめITカテーテルを挿入したSDラットに6分間の脊髄虚血を与え、その後ITモルヒネ30μgを投与した。投与後、経時的(30分、2時間、4時間、24時間)に神経学的所見を記録し、さらに観察時間において犠殺しホルマリン灌流後に脊髄標本を採取した。コントロールとして6分間虚血後にIT生理食塩水を投与したラットを用いた。脊髄標本から凍結切片を作成し、NO合成酵素(iNos)発現の経時的変化を検討した。 6分間の脊髄虚血直後の下肢運動機能は、Motor Deficit Index(MDI)2-3点で、歩行可能状態であった。IT生理食塩水投与では、運動機能は変化せず経過した。一方、ITモルヒネ投与では、経時的に下肢運動機能が悪化し、投与後2時間でMDIは5-6点と完全対麻痺となった。脊髄標本におけるiNOS発現については、Laminae V-VII領域におけるiNOS発現が若干増加傾向であったが、コントロール群と比較し発現が有意に増加しているとはいえなかった。 以前の結果から、非障害性短時間脊髄虚血(6分間)の後にくも膜下腔(IT)にオピオイドを投与することにより誘発される対麻痺が、NO合成酵素阻害薬のL-NAMEで改善されることから、NOの関与が指摘された。しかしながら、今回の結果から、iNOSの関与の可能性は少なく、今後はeNOSあるいはnNOSの関与について検討しなければいけない。
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