2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝阻血再灌流後の肺損傷の予防と治療に関する基盤研究
Project/Area Number |
19591812
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
太田 周平 Yokohama City University, 医学部, 助教 (20381478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉橋 清泰 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50234539)
矢澤 卓也 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (50251054)
大木 浩 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30336565)
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Keywords | 再灌流障害 / フリーラジカル / 肺傷害 / 移植医療 |
Research Abstract |
肝部分疎血再灌流動物モデル 11-12週令の雄性SDラットを用い、ペントバルビタール麻酔下に腹部正中切開、肝門部を露出し、更に頭側の肝臓3葉に分布する肝動脈、門脈を同定した。一定時聞この頭側3葉の肝動脈、門脈を血管クリップで挟み疎血状態にした後、クリップをはずして血流を再開した。この操作により肝部分疎血再灌流を導入した。また観血的動脈圧測定用のカテーテル刺入や薬液投与ラインのためのカテーテル刺入も行った。肺、虚血肝、非虚血肝、腸管を動物を安楽死させた後に摘出した。 肺組織標本の作製・評価 主として矢澤卓也により組織標本の作製と肝障害および肺傷害の程度の評価が行われた。 分光光度計、マイクロプレートリーダーによるMDA、MPO、TNF-α等のassay キット製品用いてassayを行った。 介入方法 虚血再灌流傷害に重要な役割を果たすと考えられているフリーラジカルをスカベンジするedaravonを介入群の動物に持続投与した。肝臓の再灌流時に3mg/kgと6mg/kgの投与を行った。 また再灌流時間を複数設定し、肺傷害を惹起する責任分子の時間的役割の差異を検討した。 長時間生存研究を行い、生存率の差が出るかをみた 主たる結果 阻血肝臓は阻血再灌流によって再灌流後著しい鬱血があり、病理組織では中心静脈を中心とした壊死を認めたが、非阻血肝ではこのような変化はなかった。肺ではedaravonの投与の有無にかかわらず、血管内皮への細胞接着が認められ、何らかの循環障害を生じている可能性が示唆された。しかし組織の酸化指標としたMDAは両群間に差はなかった。同時に測定したTNF-αで大きな上昇がなかったことから阻血による肝クッパー細胞でのTNF-α産生が不十分であった可能性がある。またフリーラジカル以外の病態の関与があるとすればedaravon投与だけで肺傷害の軽減にはつながらなかったのかもしれない。
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