2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経保護因子としてのエリスロポイエチンの新しい作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
19591813
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
安藤 富男 Yokohama City University, 医学研究科, 客員教授 (00193110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紙谷 義孝 横浜市立大学, 医学研究科, 助教 (90381491)
水野 祐介 横浜市立大学, 医学研究科, 助教 (80433192)
越後 憲之 北里大学, 医学部, 助教 (00363797)
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Keywords | エリスロポイエチン / 神経保護 / 細胞内Ca濃度 / ニューロン / イオンチャネル |
Research Abstract |
エリスロポイエチン(erythropoietin:EPO)の中枢神経系における細胞保護作用のメカニズムとして種々の細胞内情報伝達系を介したsurvival signalの促進が考えられている。本研究では、細胞障害や虚血耐性に重要な役割を持つ正常状態および病態時のニューロンの細胞内Ca濃度と細胞膜電位に対するEPOの効果を解明し、その効果に寄与するイオンチャネルが何であるか、その効果が細胞保護効果にどのような役割を果たすかを検討する。 19年度の研究では、ラット大脳皮質一次培養ニューロンにおいてFura-2を指示薬として細胞内Ca濃度の変化を経時的に測定する実験系を確立した。この系において、正常細胞外液の条件でhuman recombinant EPO-αを4unit/mlの濃度で添加すると、340nm/380nmの蛍光強度比が投与前の1.026±0.163から2分後、12分後には1.762±0.73,2.041±0.691へ有意に増加し、細胞内Ca濃度が増加した。蛍光強度比の増加は、可溶性のエリスロポイエチン受容体の前投与によって強力に阻害され、この変化は同受容体を介していると考えられた。0.4u/mlの添加では変化が一過性であり、4unit/mlの濃度で検討を続けることとした。さらに、グルタミン酸受容体刺激状態とするために、細胞外液のMgを除きglycineを加えた条件において、蛍光強度の周期的な増加が出現し、これがNMDA受容体拮抗薬で阻害されることから意図した条件が得られていることがわかった。この条件においてEPOは細胞内Ca濃度を増加させずにむしろ減少傾向を示した。したがって、EPOの細胞内Ca濃度への効果は添加前の細胞の刺激状態、細胞内Ca濃度などによって異なることが示唆された。
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