2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経保護因子としてのエリスロポイエチンの新しい作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
19591813
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
安藤 富男 Yokohama City University, 医学研究科, 客員教授 (00193110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紙谷 義孝 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90381491)
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Keywords | エリスロポイエチン / 神経保護 / 細胞内Ga濃度 / ニューロン / イオンチャネル |
Research Abstract |
エリスロポイエチン(erythropoietin:EPO)の中枢神経系における細胞保護作用のメカニズムをより詳細に理解するため、本研究では、細胞障害や虚血耐性に重要な正常状態および病態時のニューロンの細胞内Ca濃度と細胞膜電位に対するEPOの効果を解明し、その効果に寄与するイオンチャネルが何であるか、その効果が細胞保護効果にどのような役割を果たすかを検討する。 正常状態でのEPOによる細胞内Ca濃度上昇作用は、細胞外液Caの除去またはカドミウムによって完全に抑制されたため、電位依存性Caチャネルを介するCa流入によって生じていると考えられた。また、phospholipase C阻害薬であるU-73122はEPOの効果を阻害しなかったため、IP3を介する細胞内Caプールからの放出の関与は否定的であった。しかし、L型Caチャネルの阻害薬であるニフェジピンでは、Ca濃度増加は部分的にしか阻害されず、PQ型Caチャネルの阻害薬であるω-agatoxin IVA、T型Caチャネルの阻害薬であるニッケルでは抑制はわずかであった。したがって、L、N、R型のCaチャネルを介するCa流入が主なメカニズムと考えられた。 グルタミン酸受容体刺激状態におけるEPOの細胞内Ca濃度低下作用については、PI3 kinase阻害薬あるいはBK type Ca-dependent K channelのブロッカーによって抑制が認められたため、PI3 kinaseによるBK type Ca-dependent K channelの活性化の関与が推測された。また、グルタミン酸の添加による細胞内Ca濃度上昇に対するEPOの効果はわずかであったため、主にグルタミン酸放出の抑制がCa濃度低下作用に寄与していると考えられた。
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