2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591814
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杉浦 健之 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 講師 (20295611)
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Keywords | ニューロカイン / カプサイシン / 後根神経節 / 侵害受容器 |
Research Abstract |
神経障害性疼痛の原因としてグリアの関与が注目されてきており、グリアが侵害受容器の感作に影響を与えている可能性があるのではないかと考え実験を行った。シュワン細胞は繊維芽細胞増殖因子(FGF)を初め、多くの栄養因子(ニューロトロフィン)は、損傷した神経線維に働きかけ生存と再生に作用することがわかっている。 すでに神経栄養因子である神経成長因子(NGF)や脳由来神経栄養因子(BDNF)が、神経損傷モデルにおいて神経の過敏性亢進にかかわるとする報告がされている。しかし、シュワン細胞が産生するCNTFに関しては一次感覚神経への作用は未知の部分が多く、いまだ痛みにかかわる研究はわれわれの知る限り見当たらない。 平成20年度は、行動実験を中心に行った。 CNTFを投与した行動実験足底にCNTFを局所投与した後の痛覚閾値変化を、機械刺激と熱刺激を行い測定した。健常ラットを用いた実験で、温熱痛覚過敏に関しては、CNTF投与後に疼痛閾値の低下を引き起こす可能性が示唆された。拮抗薬による、閾値再の変化に関してはまだ調査の余地がある。 このほかに、痛覚過敏における末梢神経機能を解析する方法として、新たに末梢神経の神経伝達物質分泌能に着目し、ドップラー血流計を用いた末梢神経分泌機能の解析を行った。侵害刺激後にドップラー血流形で測定される血流増加を認め、同時に測定した疼痛スケールも増加しており、比較的低侵襲で客観的に末梢神経機能の状態が解析できそうであり(日本ペインクリニック学会第42回大会発表)、新たな末梢神経機能解析方法として期待される。 最近、神経損傷後の修復過程においてシュワン細胞が産生するニューロトロフィンのひとつFGFが、疼痛に関与することが報告された。神経障害性疼痛の発症メカニズムにおいて、軸索-グリア関連は益々重要視されてきていおり、CNTFもこれらの痛覚過敏の一機序になっているかもしれない。
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