2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病・高血圧モデルにおけるスタチンの血管内皮保護作用に及ぼす麻酔薬の影響
Project/Area Number |
19591815
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
小川 幸志 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (30204077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 一弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50239258)
畑埜 義雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70115913)
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Keywords | スタチン / 一酸化窒素 / 血管内皮細胞 / セボフルラン |
Research Abstract |
前年度まではラット大動脈摘出標本と培養内皮細胞を用い、シンバスタチンの内皮依存性弛緩反応およびNO産生量に及ぼす影響を自然発症2型糖尿病ラットと正常対照ラットで比較検討した。その結果、糖尿病ラットで減弱していた内皮依存性弛緩反応はシンバスタチン(10^<-5>M)により回復することが示され、スタチンの内皮機能保護作用が確認された。 この結果を受け、本年度はシンバスタチンの内皮保護作用に及ぼす揮発性麻酔薬セボフルランの影響を検討した。培養内皮細胞を蛍光NO指示薬であるDAF-AMに暴露し、共焦点顕微鏡を用いて観察した。シンバスタチン(10^<-6>M)によりNO産生は有意に増加したが、3,4%のセボフルラン存在下ではシンバスタチンによるNO産生増加はみられなかった。この機序を解明するため、eNOS蛋白発現をWestern blotting法により測定したところ、シンバスタチンを15分間適用するとeNOS発現は増加するが、セボフルラン存在下ではその増加は完全に抑制された。しかし、対照群、シンバスタチン群、それにセボフルランを加えた群の3群でeNOSmRNA発現量をPCRで測定・比較してみると、eNOSmRNA発現量には3群間で差は認めなかった。 以上より、eNOSmRNA発現量には差がみられず、eNOS蛋白発現量をスタチンは増加させたことから、スタチンのeNOS発現増加には転写後制御レベルでの効果が影響していると推察された。また、実験結果はセボフルランがこの過程を抑制している可能性を示唆している。
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