2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591820
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
竹山 和秀 Tokai University, 医学部, 講師 (80256148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 講師 (90276791)
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Keywords | ケタミン / NMDA受容体 / 統合失調症 / 精神症状 / セリンラセマーゼ / Dアミノ酸酸化酵素 |
Research Abstract |
ケタミンの有害作用として幻覚、妄想などの統合失調症の精神症状を示すことが知られている。これらの症状はNMDA受容体拮抗薬の乱用により生じる精神症状と同様なもので、本症状がNMDA受容体グリシン結合部位の内在性リガンドであるDセリン投与することで緩和されることが示唆されている。今年度はケタミンを慢性投与(50mg/kg/days)し、脳内のDセリン合成酵素のセリンラセマーゼ(Srr)とDセリン分解酵素のDアミノ酸酸化酵素(DAO)、Dセリンの輸送体タンパク質Asc-1の遺伝子発現量について解析した。その結果、ケタミン最終投与から4時間目において前脳部(大脳皮質、海馬、線状体)および間脳のSrr遺伝子発現が有意に減少した。また、中脳においてDAOの遺伝子発現が有意に増加した。最終投与から16時間目においても線状体でSrr遺伝子発現が有意に減少した。これらの結果はNMDA受容体拮抗薬を慢性投与することにより脳内Dセリン量を減少させる方向に遺伝子発現が変化することを示している。すなわち、NMDA受容体拮抗薬の乱用により生じる精神症状がDセリンの減少によるものであることが示唆された。この結果はNMDA受容体拮抗薬の乱用により生じる精神症状がDセリン投与により緩和されることと一致している。現在ケタミン慢性投与後のラット脳内Dセリン量を解析している。本研究成果によりケタミン長期投与による統合失調症の精神症状のモデルとなりうること、また、ケタミン慢性投与による精神症状を緩和する薬物としてDセリンの有用性を示唆するものである。
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Research Products
(1 results)