2007 Fiscal Year Annual Research Report
周術期肺炎の分子標的治療;新規炎症抑制性蛋白の単離同定
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19591822
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
朝倉 雄介 Aichi Medical University, 医学部, 助教 (90387770)
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Keywords | 肺炎 / 免疫 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
周術期肺炎はひとたび発症するとしばしばARDS(Acute Respiratory Distress Syndrome)などの難治性呼吸器合併症に移行し、重篤で致死的な機転をとることがある。このような炎症反応を惹起する分子機構については現在までに精力的に解明されてきた。呼吸器合併症は上気道の細菌感染により細菌菌体成分のLPS、細菌のDNAが生体内で暴露されると、Toll-like receptorと呼ばれる受容体を介して免疫細胞でこれらの生体内における異物を認識し、さらにひとたび惹起された免疫応答は下流のシグナル伝達機構に伝えられ最終的にNF-κBと呼ばれる転写因子を活性化することにより免疫応答は増幅されていく。これらの過程における炎症反応を増幅する分子も多くが同定されてきている。しかし、一度増幅された炎症反応も、ひとたびその機転が除去されれば生体は速やかにこの惹起された炎症反応を鎮静化させる機転を有する。この分子機構については現在までほとんど解明はほとんどされてこなかったが、今回、われわれはserine/threonine kinase活性を有するPKRという蛋白質がToll-like receptorを介するシグナル伝達機構において炎症反応の鎮静化に重要な役割を果たす可能性を示唆し、発表を行った(Asakura Y, et al. Am J Hematol;2007)。現在の骨髄移植、生体肝移植等における免疫抑制療法は免疫抑制剤の副作用との戦いでもあるが、今回のわれわれの報告は今後分子標的療法として応用されれば副作用のない免疫抑制療法を可能とする可能性もあり、今後、さらにその分子機構の詳細を解明し、難治性のARDS等の分子標的療法を解明し、Translational Researchとして応用していくつもりである。
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Research Products
(12 results)