2007 Fiscal Year Annual Research Report
急性脳虚血における白質病変の重要性と治療に関する研究
Project/Area Number |
19591825
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中尾 慎一 Kansai Medical University, 医学部, 准教授 (10207714)
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Keywords | 心停止 / 脳白質 / ミクログリア / 脳虚血 / βAPP / CA1 |
Research Abstract |
* 全脳虚血モデルの作成(心肺停止モデル) オスSDラット(300-350g)をイソフルラン麻酔下に気管内挿管し、人工呼吸停止とエスモロール(βプロッカー)を用いて心肺停止を誘導した。5もしくは8分の心肺停止後に、呼吸再開と大動脈よりエピネフリン・重炭酸・ヘパリン入りの酸素化血液を逆行性注入することにより心肺を再開させた。 * 全脳虚血による脳灰白質(神経細胞)と白質(軸索)傷害の調査 心肺停止1週間もしくは2週間後に、深麻酔下に脳を取り出し脳スライスを作成した。スライスは、凍結切片とパラフィン切片の両方を作成した。神経細胞傷害はクレシルバイオレット染色とMAP2(microtubule associatedprotein 2)の免疫染色で、ミクログリアの発現と活性化はCD11bの免疫組織染色で、アストロサイトはGEAP (Glial Fibrillary Acidic Protein)の免疫組織染色で調べ、神経軸索傷害はβAPP(β amyloid precursor protein)の蓄積で定量化した。海馬CA1のミクログリア・アストロサイトともに脳虚血後1週間で有意に活性化された。虚血後1週間でCA1の神経細胞傷害が観察されたが、2週間後に更なる細胞傷害の進行はなかった。βAPPの蓄積は虚血一週間後には軽度であったが、2週間後には有意に増加していた。 以上の結果を総合すると、全脳虚血により灰白質傷害のみならず白質の傷害も進行することが確認され、さらにはミクログリアやアストロサイトの活性化と共に神経細胞傷害は進行し、これにおくれて白質の傷害が進行していく、という時間経過が確認された。
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Research Products
(4 results)