2008 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素誘導性遺伝子発現変化が肺胞上皮機能に及ぼす影響の細胞生物学的検討
Project/Area Number |
19591827
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Research Institution | Tazuke Kofukai Medical Research Institute |
Principal Investigator |
足立 健彦 Tazuke Kofukai Medical Research Institute, 医学研究所第9研究部, 部長 (90252428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 喜一 京都大学, 医学研究科, 講師 (00283606)
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Keywords | 肺胞上皮 / 肺障害 / 低酸素誘導性因子1 / タバコ / 水チャネル / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
肺障害の成因または進展を細胞の低酸素誘導性遺伝子応答の観点から細胞生物学的また分子生物学的に理解して肺障害治療法の評価を新たな観点から下し、また新たな治療法の開発の基礎的な知見を得ることが本研究の目的である。すでに提出済の実験計画に基づいて本年度は以下の研究成果を得た。 #1タバコ抽出液が肺胞上皮機能に与える影響の検討 II型肺胞上皮細胞のモデル細胞として頻用される樹立細胞株A549細胞において、タバコ抽出液(CSE)処理によりhypoxia-inducible factor 1(HIF-1)の強い活性化が起こることを見いだした。 CSE処理によりHIF-1aの細胞内発現が増強し、VEGF,GLUT1などのHIF-1制御下にある一群の遺伝子のmRNAの発現が増強した。またこの誘導は抗酸化剤N-acetyl-cysteine処理で抑制されることから活性酸素腫が発現誘導に重要な役割を果たしていることが示唆された。さらにマウスに喫煙させることによりHIF-1の活性化とHIF-1支配遺伝子の発現上昇が肺に起こることを見いだした。HIF-1の活性化、HIF-1支配下の遺伝子発現増強の喫煙によって誘導される急性肺障害の発生、進展に果たす役割を明らかにして治療への端緒を得るためにマウスにHIF-1aのsiRNAを導入してHIF-1の活性化を抑制して肺障害の進展への影響を検討するモデルの作成を始めた。 #2低酸素環境が肺胞上皮機能に与える影響の検討 II型肺胞上皮細胞のモデル細胞として頻用される樹立細胞株A549細胞(ヒト由来)において、HIF-1依存的に水チャネル(aquaporin)の発現増強が起こることを見いだした。
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