2007 Fiscal Year Annual Research Report
関節炎における疼痛制御物質とアミロイドのプロテオーム解析および診断への応用
Project/Area Number |
19591828
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山本 行男 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (80124501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 朗子 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (40124432)
山岡 和子 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (00124438)
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80164581)
高橋 慶一 東京都臨床医学総合研究所, 客員研究員 (60443115)
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Keywords | プロテオーム / 関節炎 / 疼痛制御物質 / 免疫抗体法 |
Research Abstract |
近年、多くの疹痛を伴う疾患において、診断早期から疹痛治療の方針をたてることにみられるように、「痛み」は重要視されてきている。しかしながら、主観的な主訴である痛みの評価は、表現方法や閾値が患者により異なり、また同一患者であっても当人の心理的な背景により大きく左右される事があるなど、痛みの客観的な評価が困難な状況にある。本研究は、難治性疹痛の克服を目指した治療に結びつける、新たな客観的な評価法を創出することを目的としている。昨年度、患者脊髄液中の蛋白質を二次元電気泳動より分離し、患者サンプル中に2倍以上の発現量の変化を示す蛋白質スポットを認め、疼痛関連物質候補としてlipocalineタイプprostaglandin D_2 synthase(L-PGDS)を新たに見いだした。本物質は中枢系に存在し、疼痛や睡眠の制御に関与することが最近わかり新たな神経伝達物質として注目されてきている。 今年度は、関節リウマチ(RA)と老人性の関節疾患で瘍痛を伴う変形性関節症(OA)の脊髄液中に存在するL-PGDSおよび疹痛増強物質PGD_2の動態を解析した。脊髄液中における本酵素の代謝産物PGD_2を測定したところ、コントロール群に比較し、OAおよびRA群において活性の減少が認められた。更に、PGD_2の非酵素的代謝産物15d-PGJ_2を定量化したところ同様の傾向が認められた。一方、アラキドン酸の初期代謝産物であるPGE_2レベルは、三者間で大きな変化は認められなかった。以上、炎症・疼痛病態であるOAおよびRAの脊髄液においてPGD_2および15d-PGJ_2レベルが低下していた。疹痛制御物質候補L-PGDSの中枢における役割については、複雑なアラキドン酸代謝経路への関与と同時に、最近、疎水性低分子の結合と輸送を司ることも報告され、多面的な解析が必要と考えられた。
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Research Products
(5 results)