2008 Fiscal Year Annual Research Report
中脳水道中心灰白質におけるマイクロダイアリシスを用いた排尿関連神経伝達物質の解析
Project/Area Number |
19591830
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 博 Hokkaido University, 病院, 講師 (60344470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 貴彦 北海道大学, 病院, 助教 (90421966)
橘田 岳也 北海道大学, 病院, 医員 (40374441)
野々村 克也 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60113750)
吉岡 充弘 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40182729)
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Keywords | 膀胱 / 排尿反射 / 中脳水道中心灰白質 / ドーパミン / GABA / パーキンソン病 |
Research Abstract |
蓄尿と排尿の2つの相反する下部尿路の機能を円滑に遂行するためには末梢および中枢神経による複雑な神経支配が必要である。ラットの排尿反射経路は脊髄中枢として腰仙随が重要であり、さらに上位には中脳水道中心灰白質(PAG)を含んだ脳幹部が上位排尿中枢として存在する。またPAGは大脳皮質などからの下降性投射を受け排尿行動は包括的な調節を受けていると考えられる。 PAGの機能は複数の神経伝達物質により調節され、中でもドーパミン神経が重要な役割を担っていると考えられている。そこで、PAGにマイクロダイアリシスを埋め込み、さらに膀胱瘻カテーテルを留置した無麻酔無拘束のラットを用いて、排尿反射に伴うPAGの神経伝達物質の変化、PAGへドーパミンD1およびD2受容体の作動薬/遮断薬を投与した際の影響、ドーパミン神経破壊によるパーキンソン病モデルにおける変化を検討した。 結果、膀胱内への生理食塩水注入による排尿反射誘発に伴いPAGのドーパミンおよびグルタミン酸濃度は増加し、逆にGABA濃度は減少した。PAGへD1受容体遮断薬を投与すると、排尿反射は促進され、GABA濃度は減少から増加へと変化した。D1受容体作動薬、D2受容体作動薬/遮断薬は排尿反射へ影響しなかった。パーキンソン病モデルでは排尿反射の促進、GABA濃度の増加を認め、またD1受容体作動薬の投与により促進した排尿反射は抑制された。 以上の結果からPAGのドーパミン神経はD1受容体を介して慢性的に排尿反射を抑制し、その調節機構にはGABA神経が関与しているものと考えられた。パーキンソン病においてはこのD1受容体を介した抑制性調節機構が破綻することにより、臨床的に高額度に認められる膀胱の異常収縮を来すものと推測された。
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Research Products
(3 results)