2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌に対するインターフェロンの作用とインターフェロン+樹状細胞療法の検討
Project/Area Number |
19591855
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立神 勝則 九州大学, 大学病院, 講師 (90380617)
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Keywords | 腎細胞癌 / 免疫療法 / 樹状細胞療法 / インターフェロン / 抑制性T細胞 / 分子標的治療薬 / ソラフェニブ |
Research Abstract |
腎細胞癌に対する治療として分子標的薬が主流となっているが、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体であるBevacizumabはIFN (interferon)-αとの併用療法によって腫瘍効果が増強されることも臨床試験で確認されており、併用薬としてのIFN-αの効果も注目されている。本研究助成により、我々は難治性腎細胞癌患者に対して不活化した腫瘍をパルスした樹状細胞とIFN-αの併用療法を行い、治療の安全性と有効性を確認した。(Tatsugami K et al. International Journal of Urology 2008)さらに、チロシンカイネース阻害薬であるソラフェニブとIFN-αの併用療法に関して調査し、マウスモデルにおいてIFN-αがソラフェニブの抗腫瘍効果を増強することを報告した。(Takeuchi A, et al. J Urology 2010)近年、樹状細胞に対する抑制性T細胞の役割が注目されており、IFN-αによる免疫療法が抑制性T細胞に与える影響に着目し、転移性腎細胞癌患者おけるIFN-αの治療効果と抑制性T細胞の変化について調査した。根治的腎摘出術施行後に転移を有する患者に対してIFN-αまたはIFN-α+IL-2による免疫療法を行った結果、IFN-αによる治療が抑制性T細胞を減少させること、IL-2の投与により抑制性T細胞は増加すること、IFN-αおよびIL-2の継続的な投与によって投与2ヵ月後では投与前のレベルにまで回復することなどが確認された。IFN-α単独治療による抑制性T細胞数と臨床効果の比較では、SD (stable disease;安定)群ではPD(progressive disease;進行)群に比べてIFN-α投与前の抑制性T細胞が有意に低値であった。IFN-αによる治療効果は、治療前の抑制性T細胞が少ないほうが有利であることが示唆された。(Tatsugami K, et al. J Interferon Cytokine Res. 2010)
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