2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトおよびモルモット排尿筋における膀胱出口閉塞とカルシウム感受性調節機序の関連
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19591857
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関 成人 Kyushu University, 医学研究院, 准教授 (90294941)
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Keywords | モルモット / 細胞内Ca^<2+>濃度 / スキンド標本 / RhoA-kinase / 膀胱出口閉塞 / 下部尿路機能障害 |
Research Abstract |
モルモット排尿筋に、細胞内Ca^<2+>手濃度([Ca^<2+>]_i)と張力の同時記録法およひ脱膜化標本(スキンド標本)による張力測定法を適用し、アゴニストによる膜のムスカリン受容体刺激で発生する筋収縮における、 RhoA-kinase活性化機構の関与の程度と膀胱出口閉塞(BOO)との関連を検討し、BOOにおけるCa^<2+>感受性調節機序を介した収縮・弛緩の修飾機構を明らかにした。すなわち、尿道部分閉塞を作成した群(BOO群)と、同時期にsham手術を行った群(sham群)の両群において、術後8-12週に排尿筋を取り出し、αトキシン処理によるスキンド標本を作成し、等尺性張力測定を行った。1μMに[Ca^<2+>]_iをクランプした状態で、1μMのCaM(カルモジュリン)と100μMのGTP存在下に、一定濃度(10μM)のCCh(カルバコール)により発生した持続性収縮に対し、 RhoA-kinaseの特異的阻害剤であるY-27632(5μM)を作用させた時の筋弛緩の程度を両群で比較した。その結果、Y-27632(5μM)によりBOO群では最大張力の43.7±2.5(%)の弛緩が得られたのに対し、sham群では弛緩が21.5±1.5(%)にとどまり、両群間に有意差を認めた。この結果、 Y-27632のCCh収縮抑制(弛緩)作用はBOOにより増強されることが確かめられ、モルモット排尿筋においてBOOはRhoA-kinaseの活性を高めている可能性が示唆された。以上の結果より、 BOOに伴う下部尿路機能障害ならびに下部尿路症状の治療において、 RhoA-kinaseを介した排尿筋緊張の制御機構は重要なターゲットとなるものと判断された。
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