2007 Fiscal Year Annual Research Report
尿細管上皮の増殖、構造・機能分化に与える脂肪組織の影響の解析および再生機構の解明
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19591858
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
魚住 二郎 Saga University, 医学部, 教授 (30223514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 修二 佐賀大学, 医学部, 教授 (80188755)
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Keywords | 尿細管上皮 / 再生医学 / 脂肪細胞 / 間葉系幹細胞 / 細胞増殖・分化 / 泌尿器科 |
Research Abstract |
【目的】腎臓はその周囲に豊富な脂肪組織を有する。近年、脂肪組織は内分泌臓器および間葉系幹細胞の共給臓器であることが解明された。それ故に、他臓器や他の細胞機能、および再生に関して、脂肪組織に由来する生理活性物質のパラクライン効果やエンドクライン効果が重要と考えられる。本研究では、脂肪組織が尿細管上皮の増殖・分化に与える影響について検討した。【方法】尿細管上皮細胞として、犬腎臓由来のMDCKを用いた。生後1週ラットの皮下から採取した脂肪組織を1mm大に細切し、三次元コラーゲン・ゲル培養法にて培養した。その上にMDCKを播種して1週間培養した。【結果】脂肪組織片はMDCKの増殖、アポトーシスを抑制した。MDCKには細胞肥大が見られ、極性化が促進された。電子顕微鏡では、微絨毛の発達が見られた。また、タイトジャンクション構成分子であるZO-1、細胞膜局在イオン輸送分子であるペンドリン、細胞極性化関連分子であるaPKC,cdc42の発現が促進された。【考察】脂肪組織片は、MDCKの構造・機能分化を促進した。このことから、腎周囲脂肪組織は腎尿細管上皮の分化維持機構に関与することが示唆された。一方、脂肪組織は成熟脂肪細胞、前脂肪細胞、血管内皮細胞、間葉系幹細胞などから構成されている複合細胞集団である。そのため、今後は脂肪組織片のみならず、単離成熟脂肪細胞、間質血管分画細胞においても、MDCKとの相互作用の検討を行う。MDCKの機能評価として、今後、極性化関連分子の発現をリアルタイムPCRにて解析する予定である。
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