2007 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境による治療低抗性を克服するための新たな治療的遺伝子の同定
Project/Area Number |
19591863
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
近藤 慶一 Yokohama City University, 附属市民総合医療センター, 准教授 (80363836)
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Keywords | 低酸素環境 / 悪性腫瘍 / HIF |
Research Abstract |
HIF1α及びHIF2αの発現を個々に抑制した腎癌細胞株の樹立: 多数の腎細胞癌株におけるHIF1α及びHIF2αの発現をウェスタンブロットで確認しました。今回の解析にはHIF1α及びHIF2α両方が発現している細胞株が必要であったため、これらの細胞株からACHNを母細胞として選択しました。この細胞にレトロウイルスベクターシステム用いてHIF1α及びHIF2αそれぞれに対するshort hairpin RNAを恒常的に発現させました。樹立した細胞株の成長をMTTアッセイにより解析してみると、樹立した細胞群と母細胞(ACHN)の間で成長速度の差は見られませんでした。更に低酸素環境を擬似的に作り出すデスフェロキサミン(DFO)を添加して同様のアッセイを行いましたが、DFOに対する抵抗性(低酸素への抵抗性)についても各細胞間で差は認められませんでした。 HIF1α及びHIF2αの発現を個々に抑制した膀胱癌細胞株の樹立: T24膀胱癌細胞株を用いて同様の細胞株の樹立を試みました。上記と同様のシステムを用いて細胞株を樹立し、MITアッセイにより成長速度及びデスフェロキサミン抵抗性について検討しましたが、母細胞との間に差は認められせんでした。 各種抗腫瘍治療に対する感受性の測定: これらの細胞群には正常酸素濃度下では成長速度の差は認められず、更に低酸素環境のみではやはり成長速度にも低酸素耐久性にも差は認められませんでした。以上の実験結果からこれら樹立した細胞群を用いることで純粋にHIFαのサブタイプの違いによる各種抗悪性治療に対する感受性を検討することができると考えられました。現在腎細胞癌株に対しては天然型インターフェロンαを、膀胱癌細胞株に対しては膀胱内注入療法に用いる各種抗癌剤(ピラルビシン、マイトマイシンC)を用いて治療感受性の差を解析しています。
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